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2016年5月18日 (水)

『羊と鋼の森』

20160513  先の土曜日、『羊と鋼の森』という、本屋大賞受賞作を一気読みしました。まがりなりにも幼少期の十数年はピアノを習っていたし、一時期はサントリーホールの会員になって定期的にコンサートを聴きに行っていたし、先月は久々にアルトサックスの体験レッスンを受けて、このところちょっと音楽づいていたので、ピアノの調律師の話に関心が湧いたのですが、、、。
 すごく繊細で美しく、そこここに印象的な言葉が散りばめられていて、とても女性的な印象の読書でした。その一方、「あ~、私って根は男なのかも…」と思わざるを得ないほど、その繊細さを妙に客観的に眺めてしまい、ちょっと私の趣味とは違うな、という感触を持ってしまいました(泣)。調律の基準となる「ラ」の音の周波数が、時代とともに徐々に上がって、高く明るい音が好まれるようになっている…という記載がありましたが、文学も、昔のドロドロ・ネチネチとした癖のある登場人物が減り、なんだかキレイでソフトな物語が好まれるようになっているように感じました。個人的には、人間ってとても複雑でコンフリクトした存在で、そんな存在にも関わらず美しくありたいと“もがく”からこそ高邁なんじゃないかと思うわけですが、この物語の登場人物たちは、そこまでの深い葛藤を未だ見せてくれていないような気がしました。
 「いい草を食べて育ったいい羊のいい毛を贅沢に使って」作られたフェルトで、ピアノ内のハンマーを叩くと、いい音が鳴るとのこと、なんでもコモディティ化している昨今、ピアノの音色はどれくらい個性的であり続けているのか、聴く人が聴けばわかるものなのかなぁ…と思いながら読みました。
 田舎の山で育った主人公のように、自然な感性を素直に持ち続けるのが難しい現代ですが、自然保護と併せて、そうした心根の保全にも意識的に努めないと、どんどん毒気に当てられて、感受性が鈍ってしまうのかも。。。と、“ピュア”な感性に鈍感になっている自分を、かなり反省させられた一冊でした。
(我が家に来てくれていた調律師さんにも、私が練習をサボりまくっていたことはお見通しだったのかしらん?…ゾゾッsweat01

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