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2017年5月 3日 (水)

『死すべき定め ―― 死にゆく人に何ができるか』

 縁起でもない!と、親戚からは叱られそうですが、『死すべき定め』(Being Mortal)という本のKindle版を、月曜の晩に読み終えました。アルフォンス・デーケン先生の「死の哲学」が、もう何年も前から注目されていますが、その外科医版といった趣。全編、死にゆく人に対し、医者や介護者や周囲の人は、何ができるのか?何をするのが本人のために最も良いのか?を考えるためのヒントで貫かれています。後半は、著者のお父様の闘病ドキュメンタリーとなっていますが、涙なくしては読み進められません。著者が、医者として患者と向き合う姿勢と、子どもとして親と向き合う姿勢には、同じ闘病であっても対処の仕方が異なるという時点で、現代医療の未成熟さが露わになっている気がします。
 著者は、本書を書くことで、「高齢者介護の再発明」「現代の往生術」を模索しています。個人的に私が最も興奮したのは、巻頭から40%あたり、ビル・トーマスという医師が、ナーシング・ホームの改革に乗り出す場面でした。無味乾燥だったナーシング・ホームに、100羽の鳥や犬や猫や観葉植物を持ち込んで、命の息吹を吹き込もうと試行錯誤する様は、映画の1シーンのように明るくウキウキする試みでした(継続性はともかくとして…)。
 本書の内容を一言で表すのはあまりに難しいので、ご興味ある方は、PBSの「Frontline」という1時間近くある動画をご覧ください→ココ(途中何度かCMが入ります)。意味が取れなくても、登場人物の表情だけでもずいぶん伝わるものがあります。

 日本においても、現状、以下のような施設があるようですが、どのように使い分けたらよいのか、私にはまだよくわかっていません。
〔老人福祉法に基づく施設〕
・老人デイサービスセンター
・老人短期入所施設
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・老人福祉センター
・老人介護支援センター
〔介護保険法に基づく施設〕
・介護老人保健施設

 本人の希望に沿い、周囲も安心でき、よい思い出がきちんと守られる方法とは。。。? ケースバイケースで、本当に難しい問題ですが、我々の今回直面しているケースでは、子どもたち一丸となって、介護付有料老人ホームを勧める方向で話し合っています。。。

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書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

shushuさん、本のご紹介、そしてコメントも、ありがとうございます。
ここ数年、辛い思いをされていらっしゃったんですね。どんな老後に接するにせよ、明るく楽しい思い出だけ、というのはあり得ないですが、shushuさんがお仕事の仕方を変えてまで対応されたこと、それだけでご両親への想いが伝わってきます。
ガワンデ先生がレポートされた事例では、日本のいわゆる“老々介護”という状況とは少し違う、まだ恵まれた環境の人が多かった気がします。shushuさんや我が家の場合のように、最も身近で介護に携わるべき人の体調が悪くなった時、親族がどこまで何をしてあげればよいのか、多くの人の人生を左右するだけに、難しい問題ですね。。。
おっしゃる通り、情報不足も、国家政策としての方向性の是非も、課題は山積している気がします。
少なくとも、自分の老後を考える貴重な契機となったことだけは確かなので、今回のことを一過性のこととせず、家族の人生デザインを考える上での参考として、いろいろな人の考えを聴く機会にできたらと思っています。
(それにしても、ガワンデ先生、素敵な方ですね!!、ご紹介、本当にありがとうございました!!)

投稿: Taraco | 2017年5月 4日 (木) 07時40分

こんばんは,shushuです。
早速,読了されたのですね。そして,さすがの書評でした。

母の介護に向かない父を支援するために,研究職から事務職に変更したのですが,変更した年に急に父を失い,母も昨年逝ってしまいました。弟は医師で,協力してできるだけのことはしたつもりですが,それでもいったい何ができたのだろうかと思いました。母が逝った後にこの本を読みましたが,著者のように医師の親子でも悩み模索の日々であったことを知り,介護現場についての情報不足,選択肢情報の不足そして本人の希望の表現および実現の難しさを痛感しました。ただ,私たちの気持ちだけは母に伝わったと信じています。

お義父様とお義母様に心地よい環境を整えてあげられるといいですね。


投稿: shushu | 2017年5月 3日 (水) 21時32分

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