2018年3月16日 (金)

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

20180311_3  息子が一日で完読し、「おもしろい!」と太鼓判を押した本を、今週読みました。“東ロボくん”プロジェクトで著名な新井紀子氏の本。
 昔、高校教師になった折、「勉強面ではまだ、高校入学レベルに達していないお子さんがかなりいる…」と感じました。また、社会に出ていろいろな仕事をみるにつけ、「世の中には、携わるのに大学を出る必要のなさそうな仕事がたくさんある…」とも感じました。さらに、息子が小学校に通っている時、「義務教育期間にはもっと、作文を日常的に書かせ、それを添削しないとダメなんじゃ…?」と思った覚えがあります。
 本書は、そんな過去の問題意識の正当性を裏付けてくれるような一冊でした。AI 技術の研究の一環から、「AI を大学受験に挑戦させる」というプロジェクトを興し、そこから数々の副産物を提示してくださっている著者。AI 技術はいまのところ数学でしかないこと、これまでの技術革新とAI 技術による変革は質が異なること、社会にはAI で代替される仕事もされない仕事もあること、「意味」を理解することの重要さ…。

 本書を読んだ私の端的な感想は、「AI には出来ず、人間がやらなければいけない肝腎なことは、人間を総体的に評価すること」だということです。そして、「現状のAI 技術の弱点は、それを生み出し利用しようとする人の価値観が、かなり偏っていることだろうな…」ということ。さらに、「各教科ごとの攻略にまったく異なるアプローチを要するAI 技術を俯瞰すると、人間の能力ってホントにすごいな…」という感動。。。

 著者が選んだ「ロボットは大学入試に合格できるか?」という課題は、5教科8科目にわたる様々な分野の問題解決に当たるという点で、ものすごいチャレンジ! あまりにチャレンジングで、AI の能力の限界が即座に見えて、やる気が失せてしまうのでは…とさえ思えました。が、思いのほか実績を上げている様子に、驚きを隠せません。
 本の中で、子どもたちの学力は「国立Sクラス、国公立Aクラス、国公立Bクラス、私立Sクラス、私立Aクラス、私立Bクラス、私立Cクラス」の7つに分けられています。現状でもすでに“東ロボくん”は、MARCHには合格できるレベルだとのこと(それなら、弁理士試験の短答問題も70%くらいは取れそう…?)。そしておそらく、目下AI に携わる人たちは、SやAクラスの人たちがメインでしょう。ペーパーテストでの能力評価は、客観的であり、ある意味公平であり、明確な指標であって、AI の能力評価に利用するのは合理的だし、数学に基づく技術である以上、SやAクラスの数学好きな人たちが取り扱うことになるのは当然のことと思えます。
 ただ、全体的なアプローチとして、理数系の研究者ばかりが問題解決を模索するのと併行して、文系の人がもし、この課題を前にしたら、どんなアプローチを提案するんだろう?という興味も湧きます。
 後半、「どんな時代になっても必要な力は、文章読解力であろう」と示してくれた著者の考えに、強く共感しました。そして、まだ問題文の意味すら理解できないAI が、MARCHの試験に合格してしまうという事実に、「センター試験の評価軸って、このままでいいのかな?」との疑念も。だからこその大学入試改革なのだろうと思いますが、人の能力を評価するのは、手間も時間もかかる大仕事であることが痛感されます。
 “意味を正しく理解する力”――これは、当面AI には涵養できない力でしょう。意味を正しく理解しないことには、お互いに分かり合えないし、共感もできない…。そういう意味で、“シンギュラリティ”のわたくし的な定義は、「AI と分かり合える時が来たとき」と言えるかもしれません。
 また、人の幸せって、“人生のうちにどのくらい、自分の価値を認めてくれる人に出逢えるか”にかかっているようにも感じました。この先、AI が文章読解力を高め、東大合格を果たし、小学校の文章題も解けるようになり、人それぞれの“良さ”を評価できるようになったら、そんなAI は、とっても魅力的なことでしょうね~。

 息子が、本書のどのへんを“おもしろい”と感じたのかは、おいおいインタビューしてみたいと思いますが、私は、著者の“社会共有知研究センター長”という肩書を、とても素敵だと思いました。知識の多寡で能力評価するのでなく、有用な知識はできるだけシェアしていく社会――ベーシック・インカムの実現には懐疑的な著者ですが、「文章の意味を正しく理解する力をきちんと身に付けること」は、ある種、ベーシック・インカムなんじゃないかな~、と感じました。
 AI に仕事を奪われる談義が花盛りの中、一味違う視点を授けてくださった本書に感謝!
(オープンプロジェクトだそうなので、何か面白いアプローチを思いついたら、参加してみたいな~♪)
 

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2018年2月 8日 (木)

『量子力学で生命の謎を解く』

20180205_1  『量子力学で生命の謎を解く』をようやく読了。
 読後、そもそも論として、2つの「?」が私の中にあるのを感じました。
 1つは、「あまりにも人間中心で書かれてはいまいか?」ということ。ヒトも所詮は生物の一種族でしかないのだから、コマドリやカクレクマノミやオオカバマダラが、ヒトにはない感覚器や機能で世界を認識しているのは当たり前で、もっともっと身近な生き物の中の、ヒトには理解できていないこともドラマチックなんじゃないか…と。
 もう1つは、「宇宙を、3次元+時間という軸で見るのは、不自然なんじゃないか?」ということ。あくまで、たまたまヒトが認識できる世界が、
3次元+時間という枠組みなだけで、量子現象が“不気味”に感じるのも、それゆえのことなんじゃないか…と思っています。

 個人的に印象的だったのは、「分子生物学のセントラルドグマ」はもはや崩れ去っている、という記載。それまでは、DNAの転写において、情報は、DNAからたんぱく質へ、さらに細胞や生物の外界へと、一方向にしか流れない…という原理に基づいていたけれど、「適応的突然変異」というものがあることが、ケアンズという人の実験により明らかになったらしく、“相互作用”重視の私としては、さもありなん!と思いました(笑)。

 本書の根源的な問いは、「生命の起源、意識の起源の解明には、量子力学が必要不可欠なのではないか?」というところにあるのだと思いますが、素人考えでは、「そりゃぁ、当たり前では?」と思ってしまいます。マクロな世界(古典的な世界)は、間違いなくミクロな世界(量子の世界)の上層に成り立っている以上、作用効果の有無はさておき、量子力学が通奏低音のごとく何かしら機能していることは自然なことのように思えます。
 これまで、そういう世界に足を踏み入れることができなかったものが、21世紀になり、理論だけでなく、徐々に実験手法も編み出され、手が届くようになってきたということでしょうか…。
 上記の根源的な問いに先立って、現実的な問いとして、「酵素の働きの仕組み、光合成の仕組み」を解明することで、「エネルギー生成の効率を上げる」という副産物が得られそうな状況にあることを知れたのが、本書を読んだ収穫です。そして、とりあえずの課題は、「生命は、どのようにしてコヒーレント状態を長時間維持しているのか?」を探ることであり、それがどうやら、嵐の海を航海する船のような絶妙なバランスの上に成り立っているらしいこともわかっているそうで。
 今や、「合成生物学」なんていうジャンルの研究も盛んになっており、その手法は、トップダウン式に、今ある生命を書き換えるというものと、ボトムアップ式に、生きていない化学物質から生命形態を作り出すというものがあるのだとか!(今後ますます、生命倫理の検討も難しくなりそうですね。。。)
 また、こうした研究が進めば進むほど、「生命とは何か?」「心とは何か?」という、定義自体の困難性も高まることになる。。。リチャード・ファインマンの「作ることができないものは理解したことにならない」という言葉が数か所に引用されていますが、果たして
、ヒトが「生命」や「心」を作ることができる日なんて、来るんでしょうか…?!

 著作権についてしっかり考えてみたいと思っている矢先、本書を読んで、「そもそも生命こそが、“複製”から始まってるんだよなぁ…」と、当たり前のことを突き付けられ、正直複雑な心境でもありますcoldsweats01

 数々の最新研究を出典明記の上で紹介し、著者たちの空想実験を気前よく披露してくれた本書は、ものすごい力作だと思います! そして、半世紀以上も前に、本書のテーマに関わる根本的な問題に予言的に言及していたエルヴィン・シュレーディンガーを、改めて見直した感じです(苦笑)。
20180205_2  途中で挫折して、本棚に放置したままのシュレーディンガーの評伝、読み返してみようかな…?(科学的な思索の跡というより、女性遍歴の跡…かもしれないんですが^^;;)

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2018年2月 5日 (月)

『発明者をプロデュース』

20180201  先日、先輩からご紹介いただいた本を一気読み。
 仕事柄、知財関連の書籍もそれなりに読んでいるつもりですが、本書は、「発明好きの子どもを増やしたい」という思いから編まれている点、著者ご自身の初心に忠実に、純粋な思いを土台に書かれている点で、従来の知財本とは毛色の違う、とても心温まる本でした(弁理士の岩永先生 著)。
 「私はこの「学校への出張授業」が好きです」(p.224)」と明記されているとおり、子どもたちが創意工夫することを習慣づけることが、著者先生の最大の喜びなのだと思います。本書の帯の表2(表紙裏)部分に、「地救発明プロジェクト メンバーズカード」というものが印刷されており、上梓をきっかけに、“発明で、地球環境や生活の中に横たわる諸問題を解決していこう”という有志の子どもや仲間をどんどん増やし、2039年には全世界からそのメンバーを集め、刊行当時よりも世界が良くなっていることを祝う祝賀会を開くのが夢なのだとかhappy01! 本書を読んだ人は即、メンバーになれるそうなので、私もすでに立派な“
地救発明プロジェクト メンバー”です(笑)。

 お恥ずかしい話、近頃は、受験勉強に一向に熱を入れない息子に業を煮やすばかりで、息子のいい所を探そうとしていない自分がいたのですが、本書第2章の「お子さんが発明好きになる“親のあり方”」という部分を読んで、「今はまだきっと、勉強する必要性を実感していないだけで、本当に知りたいことや、解決しなければならない問題に遭遇すれば、自然と勉強するだろう…」と思えるようになりました(苦笑)。

 本書は、上記のようなマインドセットを向上させるための啓発部分と、発明の生み出し方や権利化までの手続きといった現実的ノウハウ部分が混在しているため、2冊の本を読んだようなお得感があります。個人的に、子どもの教育に関しては、佐々木かをりさん等が強調されるような、タイムマネジメント能力の獲得が大事なんじゃないかと思っていますが、本書を読んで、問題解決能力の獲得と併せて二本柱かもしれない、と思うようになりました。いずれにせよ、教育は一本道でなく、一筋縄ではいかない上、とても時間がかかるものであることだけは、確かですね。
 私の精神状態が最悪な折りに、タイムリーに本書をご紹介くださった先生に感謝します。

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2018年1月 9日 (火)

Gaba無料体験レッスン

 私が行ったわけではありません(苦笑)sweat01
 同期の友人が、先日行ってきたそうです>Gaba無料体験レッスン。さすが、善は急げ、思い立ったが吉日、行動が速い!
 「そのうちちゃんと英会話トレーニングとかしたいよね~」と、会うたびに話してはいたのですが、年の初めに早速、体験レッスンを受けて、相性をみてきたそうです!!
 まだ、実際に通い始めるかどうかは迷っているそうですが、決断前の手続きの一つに、「ダンナ様の了解を得る」という事がある、と聴いてビックリ! 自分で稼いだお金で通うのに、了解が必要だなんて?! そりゃぁまぁ、スケジュール調整的な相談は当然あるにせよ、友人のご家庭はもしや、すごい亭主関白???…
 …と、余計な詮索なんぞしとらんで、即座に行動に移した友人を見習って、私も何か考えないと~coldsweats02。とはいえ、きちんと勉強する時間もお金もないのが現実…sweat02。というわけで、こんなの読んでます。。。sweat01

20180108  【イベント告知】 英語といえば、、、別の友人がこの月末、「はじめての海外コミック読書ガイド」なるイベントでトークするそうです! お時間ある方は是非~!!

【成人式】 昨日は、街中でたくさんの晴れ着姿の新成人を目撃! 女性の着物姿はやはり、艶やかで素敵ですね~♪ がんばれ新成人! (それにしても、子どもを大学に入れたら、もうお役御免と思っていましたが、成人式とか結婚式とか、まだまだ先が長そうで、楽しみ半分・肩の荷半分…coldsweats01

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2017年12月 4日 (月)

『量子コンピュータが人工知能を加速する』

 むか~し昔、お金の勉強と思って、いっとき投資を試みて痛い目に遭った私。先日、その時に作った口座を管理する銀行から、「マイナンバーの登録」を要請する手紙が届きました。法改正によって、過去に投資経験がある人も、登録が必要になったとのこと。登録方法は2種類あり、証明書類と併せて紙で郵送する方法と、スマホで電子的に登録する方法だそうで。。。
20171127_8  そんな折、読んでいたのが、本書『量子コンピュータが人工知能を加速する』でした。これによれば、量子コンピュータがもうちょっと進化すれば、SSL等の公開鍵暗号の肝である素因数分解なんて、あっという間に解けるようになってしまうそうで――sweat02。上記のマイナンバー登録の件については、郵送も、電子的登録も、どっちもどっちでリスクはあるものですが、私は郵送を選択(笑)。公開鍵暗号方式より、郵便屋さんの良識を信頼した次第coldsweats01

 それはさておき、本書の面白さ、ハンパない!! “量子アニーリング”という、量子コンピュータの目下の2原理のうちの1つを、最初に提唱したと言われる東工大出身の先生によって書かれているのですが、素人にも読みやすく、とても噛み砕かれています。“アニーリング”というのは“焼きなまし”という意味だそうですが、私は読みながら、刀鍛冶が、熱く熱した鉄を鍛えて、徐々に温度を下げ、堅牢な刀を作るかのような様子を想像しました。量子アニーリングにおいては、この“温度”が横磁場に、“鉄”が量子ビットに、“刀鍛冶”が「ビット同士の相互作用を設定する技術者」に対応しているような感じだったからです。
 また、世の中に多数存在する“組み合わせ最適化問題”の、厳密解を求めるために考案された量子アニーリング方式ですが、例えば、山のてっぺんからスキー板を滑らせて、どのようなシュプールを描くか?という問題に対し、従来の計算機や量子ゲート式のマシンでは、シュプール曲線を計算で求めようとしていたのに対し、量子アニーリング方式のマシンでは、実際にスキー板を滑らせてみるかのようなアプローチ!(実際はここに、トンネル効果なんかも入ってくるようで…)。
 まだまだ不完全で、数々の課題が横たわっているようですが、フィンテックだのリーガルテックだのに加え、いずれはメディテックとかフィジテックとかスポーツテックとかアートテックとかケアテックとか、とにかくありとあらゆる分野への応用が可能になりそうな気配には、興奮を隠せません(費用対効果の問題はありますが…)。
 とはいえ、皮肉なことに、本書を読むことで、人間の脳やヒトの成長・可塑性の凄さが痛感され、シンギュラリティ(汎用人工知能の実現)は、まだかなり遠い未来に思えてしまいました。一方、量子アニーリング方式を採用したD-Waveに当初眉唾だった研究者が、GoogleやNASAがそれを採用した途端、掌を返すように信じ始めたのには、「AI (知性) の研究者が、自分の頭で考えなくてどうする~?!」というツッコミも…(苦笑)。
 とはいえ、量子アニーリングにおいて量子ビット同士の“相互作用”の設定が重要なのと同様、量子アニーリングの理論が、分野横断的な相互作用の中から生まれたことは、基礎科学の未知の可能性を示唆するものとして、心愉しく感じられました。当時は怪しげに思われていた理論を、現実化しようと思い立ったD-Waveのローズと、それを後押ししたMITのロイドとファーヒとの、奇跡のような相互作用には、憧憬の念を抱きました。
 ともあれ、とかく慎重・厳密な従来の日本のやり方には、もう少し、“とりあえずやってみる”という衝動的な力強さも必要かな~?という、ド素人的な印象が、読後に強く残ったのでした。。。
(次は、『エクサスケールの衝撃』を読もうかどうしようか…??)

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2017年11月27日 (月)

『弁護士はBARにいる』

20171122_5  昔お世話になった方から、『弁護士はBARにいる ~悩める社長の法律トラブル対策』という本をご紹介いただき、先の週末で一気読み!(Barには、“弁護士”とか“法廷”という意味もありますね!)
 法律知識のあるBARのマスターが、5人の悩める社長の相談にのり、的確なアドバイスを授けて、相談者が苦境を乗り越えていく様が、BARカウンターを舞台にした台詞劇仕立てで、とても読みやすく展開されています。
 一人の相談に1章が割り当てられ、相談者の具体的なプロフィールがリアルで、章末のワンポイントアドバイスも有用。思わず、「こういうBAR、あったらいいな」と思ってしまいます(笑)。メディアミックス展開も模索されているようで、ドラマ化を是非応援したいと思います♪
 それにしても、弁理士と違い、弁護士さんの仕事というのは、M&Aや企業間契約のようなものを除けば、常に生臭い現実のドロドロした事件(嫌がらせ、詐欺、パワハラ、浮気、離婚、相続、凶悪犯罪etc,etc…)にまつわる相談事が大半で、癖のあるクライアントにもクールに対応する必要があり、海千山千を相手に動じない肝っ玉が必要で、平気で悪いことをするような人にもニュートラルな気持ちで相対する包容力がなくてはならず、人としての鍛錬が必要な仕事だなぁ…とつくづく感じます…sweat01
 巻頭からかなり軽いテイストで、数時間で読み終えてしまえる程、とっつきやすい構成ですが、第5章とエピローグには、結構ホロリとさせられます。弁護士の仕事も多岐にわたり、その取り組み方や姿勢も人様々のようですが、芯になる矜持を失くしてはいけないな~と感じました。
 探偵はBARにいる、弁護士もBARにいる、『弁理士はアキバ(コウバ?)にいる』!?coldsweats01

20171126_3  【La Maisonのケーキ♪】 昨日の午後、弟が、両親を車に乗せ、突然我が家を訪問。玄関のチャイムを鳴らして「宅急便で~す」と悪ふざけしてやってきました(笑)。いい天気だったため、両親を明治神宮の散歩に連れ出したとのこと。「おみやげっ!」とケーキの箱だけ手渡すと、「無理しないようにね~」と言ってサッサと帰っていってしまいましたcoldsweats02。私が近頃すっかり義父母にかまけている分、弟がしっかり両親をケアしてくれているようで、感謝感謝。
 洋梨や和栗やフルーツのケーキに、すっかり幸せ気分。どうもありがとう~♪

 

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2017年11月15日 (水)

『インターネットの法と慣習』

20171108_2  先週、ふとamazonで衝動買いした『インターネットの法と慣習』を読了。なんと、古本として1円で買ったのですが、存外面白くて勉強になった上、“もったいない本舗”という販売者の“しおり”まで付いてきて、申し訳なくなってしまいました(笑)。
 個人的には、前半の、「規範や法についてどう考えていくべきか」という話が面白かったのですが、後半は、「基本的人権確保のため、もっと政治参加を!」と発破をかけられた気分。

 印象的なフレーズを3つだけ抜粋。
・(26ページより)
 日本においては「法」はいつも「既製品(ready-made)」として外国からやってきていた。…私たちが現在依拠している法律も、明治時代に欧州から輸入してきたものだ。だから、形式的にはそうでなかったとしても、実質的には、私たち日本人にとって「法」とは、私たちの代表の意見が反映したものでも、私たちの社会契約から成立したものでもなく、常に「誰かよその偉い人」が作り出したものだったわけだ。
・(29ページより)
 だから、法律を学ぶ人は、法律について学ぶ基礎として、社会や、歴史や、経済や、人間の心理について知らなければならないことになる。…法律を学ぶこと自体が目的になったりしてはいないだろうか。
・(32ページより)
 具体的な「正しさ」をつかさどるのが裁判所の仕事。裁判所は、古い歴史の中から抽出された法(law)と人が定めた法律(statute)とを調和し、具体的事件に適用し、妥当で適切な状態(justice/right)をもたらすことを仕事にしている。

 次は、あるブログに触発されて、『北川一成の仕事術』というムックを読もうかな?とも思いましたが、それを紹介してくださっていた記事だけ読んで、満足してしまった感じ(笑)。

20171114_220171114_1  【クラウドツリー】 昨日の朝は、スカイツリーがすっかりクラウドツリーになっちゃってましたsweat02

 

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2017年10月26日 (木)

『日の名残り』

20171024_2  火曜日、1週間ちょっとかけてのんびり拝読していた『日の名残り』(The Remains of the Day)を読了(以下、ネタバレ注意です)。
 ノーベル文学賞受賞作の読書は何年ぶりか…? キップリング、メーテンルリンク、タゴール、ショー、トーマス・マン、パール・バック、ヘルマン・ヘッセ、ジッド、T.S.エリオット、ラッセル、ヘミングウェイ、カミュ、パステルナーク、スタインベック、サルトル、川端、ベケット、ソルジェニーツィン、大江…このあたりはさすがに遠い昔に読んだ記憶はあるのですが、最近の人になればなるほど、読んでないような…。
 そもそも近頃は、実用書やファンタジーばかりで、あまり文学的な作品に触れていなかったこともあり、読み始めはすごく構えてしまいました。「どんな文学表現に出逢うのか…」「高尚な哲学についていけるか…」「そもそも楽しめるのか…」――けれど、これらの心配はすべて杞憂でした。

 読みやすいし、おもしろい! ヨーロッパの歴史には疎いので、この小説の舞台であるダーリントン・ホールというお屋敷でなされた数々の政治的会議の重要性や意味はわかりかねましたが、そこの主人に仕えた執事の一生の断片から、仕事、品格、老化、看取り、恋愛、結婚、引退…といった人生にまつわるアレコレについて、いろいろと思いを馳せながら読みました。
 本来は、選考委員会が、現代人に問うた「品格」というものについて考えたところを書くべきなのでしょう。また、昔のような貴族と平民といった階級的格差は消えつつあるとはいえ、それ以上の精神的「分断」についても本書から意識させられはするのですが、そうしたことを論じるのは、私には荷が勝ちすぎていますので、ストーリーの副軸であるロマンスについて書いておきましょう(汗)。
 浅薄な読み方でしょうけれど、熟練の執事スティーブンスと、女中頭のミス・ケントンの、交錯しつつも結ばれることのなかった二人の人生に、信頼と愛情の扱い方の難しさを感じました。
 生真面目で、主人と仕事に忠実で、自分の感情を極力抑え込んで品位を重んじる主人公の執事に、途中、かなりツッコミを入れている自分がいました(笑)。自分の考えはないのか?! そこはそうじゃないだろー?! 女性の気持ちが全然わかってない!! 沈着鈍感にもほどがあるっ! 男ってやつはコレだから…キ~、イライラする!coldsweats01
 読後の印象として、まず浮かぶのは、「時計は決して巻き戻すことはできない…」というフレーズ。言葉では伝えきれない心の機微と、到底はかりしれない他人の心。それでもなんとか理解し合おうと、言葉という頼りないものを媒介にして、瞬間瞬間、考え、行動し、発言することで、否応なしに回っていく人生――。
 結ばれることのなかった二人ではありますが、私は、一日一日の仕事の締めとして、執事と女中頭との間で毎晩行われた“ココア会議”は、さぞかし豊かな時間だったろうなぁ~…と、うらやましく思いました。時間を共有して、物事を善くしていくために知恵をしぼりあう時間――なにものにも代えがたい贅沢な時間だったのでは…?と感じます。
 若い頃のようには働けなくなり、とかく人生を振り返りがちになっていた主人公が、旅の最後に出逢った男性とベンチで語らった際に言われた言葉は、そのまま両親や義父母、そして自分自身にも言っておきたいものだと思います。

――「人生、楽しまなくっちゃ。夕方が一日でいちばんいい時間なんだ。脚を伸ばして、のんびりするのさ。夕方がいちばんいい。わしはそう思う。みんなにも尋ねてごらんよ。夕方が一日でいちばんいい時間だって言うよ。」――
(今の私は、深夜の前触れの夕方はちょっと恐ろしい、、、というのが本音ですが。。。sweat02

【昨夕の義父】 昨夕はケアマネさんが、義父のもとへ、緊急ボタン導入の説明に来訪。これで、家の中からは緊急通報が可能になり、24時間訪問対応していただけることになります!(月数千円也)

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2017年10月 4日 (水)

『単純な脳、複雑な「私」』

20171003  ずいぶん時間がかかってしまいましたが、先日ようやく、『単純な脳、複雑な「私」』を読了。個人的には、前作の『進化しすぎた脳』のインパクトに引きずられて、本書の後半はややダレて読んでしまいました(汗)。
 こういうのが脳科学なのかな~?という素朴な印象。どちらかと言うと、心理学とか認知科学とか社会学とかコンピュータ・シミュレーションとか哲学の分野にも感じられ、まぁ、脳の話は分野横断的にならざるをえないのかもなぁ…と思ったり。倫理的にも、人間の脳で行える実験には限りがあるでしょうし。。。
 ひと昔前、「1/f のゆらぎ」なんてのが流行ったのをなつかしみつつ、“何かしらの規則性がベキ則として現れる”とか、“機能と構造の相互作用を通じて生物は環境に適応していく”という言葉が、印象的でした。最近流行りのメディテーションは、「1/f のゆらぎ」(ノイズ)の自主的コントロールと言えそうです。また、フィードフォワードとフィードバックの重要性も語られていましたが、フィードバックはいわば、昨今の“見える化”とも言えそう。
 先日のNHKスペシャル「腎臓が寿命を決める」と併せて考えると、“自律神経”の“自律”が、「意志とは無関係に独立して作動している」ことを意味するとしても、腎臓の働きをフィードバックする仕組みが作れれば、ある程度は制御可能になるかも…という期待を抱けます。
 著者によると、「心」は、ニューロンのフィードバック回路によって生じる「創発」の産物だとのこと。そうなると、“豊かな心”のためには、フィードバック回路をたくさん回す方がいいのかな?
 最終部分には、脳科学とは、”脳を脳で考える学問”だから、その論理構造上(入れ子構造≒リカージョン)、そもそも「解けない謎」に挑む学問ではないか、と書かれていました。
 読後感としては、なんというかこう、自分が見ているもの、感じていること、思っていることなどが、かなりの部分、錯覚や幻覚なんじゃないかと思えてしまい、不安な心持ちにさせられました。一方、人類は“言葉”を手にしたことで、リカージョンが可能になり、「無限」や「有限」を意識できるようになったのだとしたら、本当に言葉という発明品は、エデンの園の知恵の実のようだな…とも感じました。
 まだ当面、認知症と対面する中で、“脳”の不思議と対峙する日々が続きそうです。

ノーベル物理学賞】 脳の中で重要な役割を果たす“ノイズ”ですが、重力波観測では慎重に取り除くべき存在。昨日のノーベル物理学賞には、残念ながら日本人は含まれませんでしたが、精密観測でノイズと闘う人は数知れず。素人的には、この世のノイズなんて、除ききれるもんじゃないような気がしてしまいますが、日夜そういう仕事に取り組む人もいるんですねぇ。次なる読書は久々に、重力波関係の初歩の本でも探してみる??

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2017年9月 3日 (日)

『進化しすぎた脳』

20170902  ブルーバックス版『進化しすぎた脳』読了。
 認知症の症状を間近に見て、その不思議さに触れたり、AI と脳の差や、脳の存在意義について思いを馳せることが増えているため、とても興味深く読みました。
 率直に言って、まだまだ脳や心については、ほとんど何もわかっていないのかもしれないな…と思いました。脳の神経細胞が、シナプスを通してどんな風に情報を伝えているのかの解説は、とても勉強になりました。また、“視る”ということがいかにフィルターのかかったものか、“同時”と思っていることが実はそうでないか、“記憶”があやふやなものか、“ヒトの進化”は“環境の進化”になりつつあるか、“脳”がどれほど身体に規定されているか等々、ある意味、哲学のような問答が続くのが、エキサイティングでした。
 私が圧倒されてしまったのは、「脳神経の回路のシナプス状態の組み合わせ数は2の1000兆乗で、宇宙全体の原子の数をはるかに超えており、それらが絶えず時間と共に変化していくのだから、脳には“再現性”があるとは言えず、そういう意味では“科学”も個々人の解釈に委ねられた“文化”である」というニュアンスの記述。“客観的”とか“エビデンス”とかいう科学的と言われてきたことが、実は大した根拠とはなりえず、単なる一部の相関を表すに過ぎないのかもしれないと考えると、何人もの偉大な科学者が、最終的には「心」や「意識」の思索に耽りゆくのも無理からぬことだなぁ…と感じました。
 学生時代に物理の基礎を学んだ際、「相互作用」の重要性を痛感しましたが、脳科学の話を読んでもやはり、「相互作用」が大事なんだなぁ…と思いました。人生長くやってみても、同じく「相互作用」が大切だと感じています(笑)。
 次は、同じ著者の『単純な脳、複雑な「私」』にシフト~!!!
(池谷先生のおかげで、私の介護ヘルプ生活は、ずいぶん彩深いものになっています、ありがとうございます)

【手を握る】 土曜日、夫が父を連れて、ショートステイ先の母を訪問。食が細っていた母が、その日は、朝食は完食、昼も半分は食べられたと聞いて胸をなでおろしました。母は、長い時間、父の手を握り続けて、その訪問をとても喜んでいたということです。なんだか、心温まる光景が目に浮かぶ、夫からの報告でした。
(それにしても、この前の日に、ほぼ一日がかりで受診した血液検査のことは、もう一切覚えていなかったそうで、短期記憶は相当欠落してしまっています)

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