2017年5月15日 (月)

『火花』

20170510_8  先週、又吉さんの『火花』の文庫版を、義母のショートステイ先の最寄り駅近くのTSUTAYAで見掛けたので、思わず買って一気読みしました。又吉さんの朴訥とした語り口が好きな私としては、芥川賞の選考基準とか、好きな人の“いらん内面”とか、考えたくないことを考えさせられる気がして、ずっと読むのを避けていたのですが。。。
 「主人公(著者?)はしごくまっとうな人だった…」というのと、「天然のあほんだらって、私のこれまでの人生ではまだお目にかかっていないかも…」という、不思議な読後感でした。スパークスというお笑いコンビが、芸人の道をあきらめて別の道に進むことを決めた後の、最後の漫才の中でのセリフ――
「世界の常識を覆すような漫才をやるために、この道に入りました。僕達が覆せたのは、努力は必ず報われる、という素敵な言葉だけです」というのを電車の中で読んだ私は、不覚にもウルウルしてしまいました。あほんだらに生きたくて、夢中で走り続けたけれど、どうにもあほんだらにはなり切れず、夢破れて常識的に歩むしか道がなかった若者の哀しさ――。昔は、生粋の“あほんだら”こそが芸術家だったような気もするのですが、最近の芸術家は“まっとう”になりすぎているかも…と思わされる一冊でした。文芸賞とかも含め、狂気の芸術家…みたいなのって、最近は見掛けなくなった気がします。そういう人は、現代の資本主義社会では生き残れず、昨今のSNS社会では抹殺されてしまうのか…。
 太宰治や芥川龍之介に心酔する又吉さんにとって、この“まっとうな人”の物語が芥川賞を受賞したことも、自分が芸人として大成していることも、実は複雑な心境なのかもしれないな…と思いながら、本を閉じました。でも、人の評価を気にするより、自分の好きなことを好きなようにやれる幸せを尊重するなら、もらえるものは何だってもらっておくべきだよね。多くの人が、“あほんだら”に生きたい!と思うものでしょうが、人間弱いもんで、やっぱり“まっとう”に生きる道を選んじゃうんですよね~。人生って、切ないのぉ。(巻末の、又吉さんから芥川への手紙文を読んだら、『劇場』より先に、『戯作三昧』をポチっとな、してしまいました)

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2017年5月10日 (水)

かいけつゾロリ30周年!

 なんと?! 原ゆたか先生の『かいけつゾロリ』シリーズは、今年で30周年だそうですね!! 我が家の息子もずいぶんお世話になりました。数年前に、息子の母校の文化祭古本市用に、すべて寄附してしまいましたが、いつもケラケラと笑いながら読んでいた姿を思い出します。“真面目に不真面目”というキャッチコピーが、本当にぴったりだったなぁ~。子どもたちの本離れを、辛うじて止めてくれているシリーズの一つだと思っています。
 次は、目指せ35周年!、ですね!!

【『ネット・バカ』】 本といえば、ある方のブログに、『ネット・バカ』という本の書評がアップされていました。文字や本という、ある種のテクノロジーの発明が、人間の脳にもたらした進化とこの先の展望。本離れが進む中、個人の“思考力”は退化しているのかもしれませんが、集団知の“思考力”はどうなんだろう…?。時間があれば読みたいなぁ~!

【de beer is dood】 ママ友さんのFB記事で知りましたが、故ディック・ブルーナさんが、未発表の絵本を遺していたのだとか。読書好きだったクマくん…天国でもきっと読書に明け暮れていることでしょう。。。

声優起用の目論見?】 今週の朝のNHKニュース中で放送されている「朝ごはんの現場」というコーナー。1日目のナレーションは梶さん、2日目のナレーションは宮野さんでした。。。声優ヲタの心をゆさぶってどうする~?!

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2017年5月 3日 (水)

『死すべき定め ―― 死にゆく人に何ができるか』

 縁起でもない!と、親戚からは叱られそうですが、『死すべき定め』(Being Mortal)という本のKindle版を、月曜の晩に読み終えました。アルフォンス・デーケン先生の「死の哲学」が、もう何年も前から注目されていますが、その外科医版といった趣。全編、死にゆく人に対し、医者や介護者や周囲の人は、何ができるのか?何をするのが本人のために最も良いのか?を考えるためのヒントで貫かれています。後半は、著者のお父様の闘病ドキュメンタリーとなっていますが、涙なくしては読み進められません。著者が、医者として患者と向き合う姿勢と、子どもとして親と向き合う姿勢には、同じ闘病であっても対処の仕方が異なるという時点で、現代医療の未成熟さが露わになっている気がします。
 著者は、本書を書くことで、「高齢者介護の再発明」「現代の往生術」を模索しています。個人的に私が最も興奮したのは、巻頭から40%あたり、ビル・トーマスという医師が、ナーシング・ホームの改革に乗り出す場面でした。無味乾燥だったナーシング・ホームに、100羽の鳥や犬や猫や観葉植物を持ち込んで、命の息吹を吹き込もうと試行錯誤する様は、映画の1シーンのように明るくウキウキする試みでした(継続性はともかくとして…)。
 本書の内容を一言で表すのはあまりに難しいので、ご興味ある方は、PBSの「Frontline」という1時間近くある動画をご覧ください→ココ(途中何度かCMが入ります)。意味が取れなくても、登場人物の表情だけでもずいぶん伝わるものがあります。

 日本においても、現状、以下のような施設があるようですが、どのように使い分けたらよいのか、私にはまだよくわかっていません。
〔老人福祉法に基づく施設〕
・老人デイサービスセンター
・老人短期入所施設
・養護老人ホーム
・特別養護老人ホーム
・軽費老人ホーム
・老人福祉センター
・老人介護支援センター
〔介護保険法に基づく施設〕
・介護老人保健施設

 本人の希望に沿い、周囲も安心でき、よい思い出がきちんと守られる方法とは。。。? ケースバイケースで、本当に難しい問題ですが、我々の今回直面しているケースでは、子どもたち一丸となって、介護付有料老人ホームを勧める方向で話し合っています。。。

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2017年4月19日 (水)

並行読み♪

20170412_8  近頃は、小説やらエッセイやら実用本なんかを読み散らかしている感じでしたが、新年度ということもあり、目下、興味に従って著作権がらみの本2冊を並行読みしています。
 家の本棚を眺めていたら、『デジタル著作権』という本が目に留まり、パラパラしてみたところ、2002年の刊行と古い割に、内容はすごく堅実で良さそうな感じ。。。“積ん読”だったのか、読んだ記憶なし。。。amazonで評価を見ると、星3つで高評価ではないものの、硬派な書き手でとっつきづらいというだけで、真の評価ではなさそうな感じ(?)。
 福井先生の『18歳の著作権入門』は、以前から読んでみたかったのに放置していた本。2015年初版だから、ネット時代の問題が満載に違いなく――。
 この2冊を読み比べることで、21世紀初頭からの15年間で、著作権法がどのくらい、どのように、現実の技術世界に対応してきたかが、見えるかな~…と期待して。おそらく、まだまだ、『デジタル著作権』の著者の方々が描いていた形には程遠い状況なんだろうと予想しながら、のんびりと読み進めています。
 『インターネットビジネスの著作権とルール』とか、『クラウド時代の著作権法』って本も、以前読んだはずなんですが、内容をすっかり忘れているので、このへんもペラペラめくりながら、TPP騒ぎが収まって少し落ち着いた2017年度最初の、真面目な読書にしたいと思います♪

【これからの著作権法】 …『18歳の~』は既に、先週末に読了していますが、最終章(20章)で、1983年の時点で早くも「オプトアウト」式の“超流通”の仕組みを提唱されていた筑波大の森亮一先生のことを知りました。また、先日、AI の知財問題につき、中村先生が議事録を公表してくださっていました。これまで騙しだまし現実に対応してきた著作権法ですが、いよいよドラスティックに変わらざるを得ない時代??!

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2017年4月 5日 (水)

『トヨトミの野望』

20170403_1_2  遅読の私が、たった2日で完読したKindle版『トヨトミの野望 小説・巨大自動車企業』――尾張の某自動車企業を想起せざるをえない、というか、一瞬“暴露本”?とも思えてしまうほど、関係各位には登場人物の現実の顔が思い浮かんでしまう冷や汗本かもしれません。とはいえ、“事実は小説よりも奇なり”を無理やり小説仕立てにしたような、剛胆な叩き上げ経営者をめぐる群像劇で、抜群の面白さ。
 日本の名だたる大企業が軒並み苦境に立つ21世紀初頭、いわゆる大企業病が蔓延し、寄らば大樹の軟弱化する社員が増える中でも、ビジネスの最前線では命を削って、自社や日本の将来を守ろうとする人たちがいることを感じられました。極度のコスト・カットや、在庫軽減の負担を下請けに回すような施策のすべてを支持するわけではありませんが、“統べる”ということの厳しさや責任の重さは、想像を絶するもので、非情にならざるを得ない場面も多々あることを、経営者視点で納得したり。
 個人的には、「腐らず諦めず、動き続ければなにかに当たる」というフレーズに勇気をもらいました。物語の中に、2人の新聞記者が出てくるのですが、もしかしたらこの2人のうちのどちらか、あるいは2人が、本書の著者ではないかと想像します。そして、この2人が惚れ込んだ型破りの稀代の経営者の功績が、有名自動車企業の歴史から葬り去られそうな状況を打開すべく、本書が執筆されたのでは…とも。さらに、“ペンは剣より強し”を地でいくように、昨今では珍しい硬派な記者が、時代の趨勢を読み、自動車産業に参入するニューフェイスの動きを予期して、国内の自動車企業各社に対し、「出世レースで右往左往している暇なんてない、ガソリンを燃やしてる場合じゃない!」と檄を飛ばし鼓舞しているようにも感じました。奇しくも、読後の翌朝のNHKニュースでは、スズキ自動車の社長が登場し、“選択と集中”による環境配慮を声高に宣言していました。トランプ政権下、ますます激動の時代に入りそうですが、本書の“動く人達”のバイタリティを教師として、果敢に苦境に立ち向かって欲しいなぁ!
 世界を相手にするには、ロビー活動が非常に重要であるとは思っていましたが、本書を読むまで、アメリカでのロビー活動には、政府への登録が必要だとは知りませんでした。あとは、公聴会のシーンで、プリンス社長の苦境を救うかのような発言をした、ケンタッキー州の女性議員がカッコよかった! 日本の政治家にも見習って欲しい!!
 大きな企業の一社員にとって、とかく人事異動での勢力地図の塗り替えは、恰好の酒の肴になりがちですが、“自分はどっち派”なんてセコい見方でなく、本書のような大所高所の視野が大事だな、と思いました。
 新年度で、街でも新人さんと思しきリクルートスーツの若者をよく見かける季節、まだまだ自分の貢献は小さくとも、大きな流れを良い方に変えていく意識で、日々の小さな一つひとつの仕事に取り組んで欲しいな、と思います。あ、それ以前に、私自身がもっと、何かへの貢献を意識した仕事をしないと(笑)!
 刺激的で面白い本を、ありがとうございました!

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2017年4月 4日 (火)

『いのちの車窓から』

20170330_1  発売日当日、近所の書店さんで本書を購入。そそくさと、先週末には読了しました。
 私は、「文章」という文章が好きだったかな~♪ どうして文章を書くのか?という問いに答えたエッセイ。
 多くの人が、年齢を重ねると、丸くなり、感謝の気持ちに溢れてくる傾向にあると思うけれど、彼はある意味老成しているのか、人一倍そんな気持ちでいっぱいなように感じます。
 いつだったか、NHKの「LIFE」という番組で、「あなたの人生は今、何点?」という質問に、その時の自分の年齢を応えた星野さんを見て、「い~ね~♪」と共感しました。どんな生き方をしていようと、人間はきっと、生きた時間分だけ何かしら豊かになっている…と思え、人生ってイカす♪と思えました。本書も、そんな気持ちにさせてくれる一冊でした。素直なエッセイを、どうもありがとうございました~!

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2017年3月29日 (水)

『誰がこれからのアニメをつくるのか?』

20170326_5  長年アニメ業界をウォッチし続けている友人が上梓した新書を拝読しました。
誰がこれからのアニメをつくるのか?』――アニメ旋風が吹き荒れた2016年が明けたこの時期の刊行は、グッド・タイミングだと思われます。
 アニメ・ビジネスにおいても、キーワードは「グローバル化」と「インターネット」。少子高齢化の進む日本の中だけにターゲットを絞るのはもはや現実的でなく、必然的に世界を目指さざるを得ない状況ではありましょうが、その際キーとなるのが、「中国資本」と「配信ビジネス」だとのこと。様々なデータを交え、業界の今後の未来予測をしながら、ポスト宮崎駿となりうるクリエイターを概観し、制作・製作者、配給・配信者等の新しいプレイヤーの可能性に迫る、充実の一冊。客観的データ満載でとても勉強になりました! 工夫次第で、まだまだコンテンツ・ビジネスの形も様々な可能性があると前向きに感じられます。
 クールジャパン構想のなりゆきは今ひとつピンと来てはいませんが、日本発のアニメが人の心を柔らかくし、世界を和やかにしてくれるものと信じて、陰ながらいろんな人を応援しています。年々、その豊穣さをアップデートするかのような昨今のアニメーションですが、制作現場の改善や、配信の工夫を重ねつつ、これからは、作り手もワールド・ワイドに協力し合う時代なのかもしれないなぁ~と思いながら本を閉じました。


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2017年3月22日 (水)

『Legal Design』

20170321_1  ちょっと時間がかかってしまいましたが、水野祐さんの『Legal Design』を読了。法律関連書としては異形の、お洒落な本。例によって付箋だらけ(笑)。「法とアーキテクチャの関係性を考察することが狙いの本」ですが、私としては、“インターネット後”の世代の人が、法律を通して社会をどのように見ているかを知るのが目的でした。以下、付箋箇所を見返しながら、印象的だった部分をメモ。

・p.6:「アウトバーン・デザイン」の思想は、法律にも応用できるのではないか
・p.11:現実の後追いしかできない「法の遅れ」という現象は、…インターネット以降の情報技術の動向が性急であることを前提に、人類史上かつてないほど広がっているように感じられる
・p.27:著作権制度が設計している「余白」がサイバーカスケード/ネットリンチにより「浸食」される可能性があるのではないか、という危惧
・p.35:クリエイティブ・コモンズは、国が決めた著作権法という法律ではなく、クリエイターとユーザーが互いに合意した条件でコンテンツの利用を簡易に、迅速に許諾する仕組み
・p.39:著作権制度を抜本的にリフォーム…その一つは、「禁止権」を中心とした著作権制度から「報酬請求権」を中心とした著作権制度にリフォームするもの
・p.41:北欧には「自然享受権」という権利が認められている
・p.68:私たちは、法という社会のOSを更新する必要がある。それは同時に、私たちのマインドセットも更新しなければならないことを意味する
・p.80:音楽史が進むなかで、メロディやコードといった有限な部分を権利で縛っていけば、やがて作れる音楽はなくなってしまうだろう
・p.83:同時多発的かつ双方向なリミックス文化の加速は、インターネット/デジタル技術によるリミックス文化の成熟、そして時代が「複製の時代」から「改変の時代」へ移行してきていることを示している
・p.87:日本には、原盤権を一括して管理運用できるような機関は存在しない
・p.93:現代の楽曲の創作性として、グルーヴやフィーリング、アンビエンスといったものも含まれるべきだ、含まれるとしてどの程度保護されるべきか、といった検討や主張は一定の正当性を持つようにも思われる
・p.95:音楽はアップデートを繰り返すソフトウェアのようになってくるのかもしれない
・p.99:ブライアン・イーノの『音楽の共有』からの抜粋文:音楽に関する権利の帰属や収益の配分に関する見直し…
・p.127:これまでのような…複製権に基づく出版ではなく、…送信可能化権に基づいて行われる出版が中心になる時代が来るだろう
・p.133:元来のアートにおける「一品制作」という性質から導かれる「所有」や「オリジナル」という特徴は、インターネット/デジタル技術による複製容易性および非劣化性と相克する
・p.142:フランスでは、いわゆる「追及権」という権利が法律上認められている
・p.166:写真が物質からデータに変化するにともなって、インターネットというアーキテクチャのなかでは、写真は誰のものか?というクリシェも変容せざるを得ない
・p.217:デザイナー・坂部三樹郎が…ファッションのフリーカルチャー性を部分的に肯定的に捉える言説を残している…
・p.225:アーカイヴの射程をいかに捉えても、そこに変わらず課題として生じてくるのが権利処理の問題である
・p.242:(情報量を残すことが最良?)…西洋音楽はなぜ楽譜という形で伝承されるのか。演劇はなぜ戯曲という形で残されるのか…
・p.253:従来は、情報と物質との間に境界・ハードルがあったため、制作者側にとっても、情報は著作権、物質は意匠登録すれば意匠権で保護されるという切り分けを前提とする二元論で一定の理解は可能であった。しかしながら…情報と物質の境界が融解し、シームレスになったとき、…納得感のあるものになるかは甚だ疑わしい
・p.269:現在日本には、820万戸以上の空き家があり、7戸に1戸以上は空き家だという報告がある
・p.288:附合契約から契約自由の原則への回帰の流れ
・p.316:出生、婚姻、離婚、養子など、それぞれのステージにおいて、従来法が予定していたモデルではない多様性が生まれてきている
・p.320:政治は国家や民族、家族、個人という概念と、それぞれの間に生まれる境界の存在を前提にしている。一方で、インターネットをはじめとする情報技術は…
・p.330:情報化社会において、法律の解釈・運用により生まれる「余白」や契約をいかに設計・デザインしていくかというリーガルデザインの思想が本書のテーマ…

 私のような年寄りですら、いろいろ「?」を感じる法律構成なのだから、インターネット後の若い世代の人には、時代錯誤と感じられる部分が多々あるのだろうなぁ~、と思っていましたが、「法の遅れ」を受容して、自分なりに方向性を模索しながら考察を続ける実務家の姿勢に触れ、できるところからトライしてみる堅実性を見習いたいな、と思わされました。(私の眼の黒いうちに、少なくとも産業財産権法くらいは、万国共通化されないかな~…) 

 唯一、やや残念だったのは、誤植がとても多かったこと。以下、ご参考までに、誤植とおぼしき記載のあったページ数のみ列挙して、増刷時の推敲に貢献したいと思います。
18、29、45、55、56、63、71、74、75、86、92、110、119、137、141、175、192、193、197、210、213、214、217、219、234、300、317、336

 

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2017年3月19日 (日)

『受験は母親が9割』

 中・高という、子どもにとってまだまだ大切な時期、“自立”という名のもとに息子をすっかり放置した自分を反省し、先日、Kindleで標題の本を購入して読みました。噂には聞いていましたが、自分とは価値観が違う人の著書だろう、、、と思い、手に取らずにいたのでした。
 本書を読み終え、愕然としているのは、母親業という仕事のTo Doリストの中に、「中高生の学習管理をする」という仕事をまったく加味していなかった自分自身の認識の甘さです(汗)。こんな風に手をかけてもらっているお子さんもいるのかぁ?!と驚き、(この本は息子の目には触れさせられない!)と内心大汗。。。(私だって、息子のことは十二分に愛してるんですけど~)
 単純な感想としては、「やるべきことをきちんと計画的にこなせば、実績は上がる」という淡白なものですが、子ども一人ではまず無理な上、親が協力したとしても、到底このご家庭のように計画通りにはこなせそうにないのが凡人の辛いところ。そして、何より堪えたのは、「仕事と子育ては、本気でやれば両立は難しい」という佐藤ママのお言葉。これは、私がずっと抱いている仕事と子育てに関する“中途半端感”を論破するものでした。そして、昨今の世の、“女性も輝く”とか“副業OK”とかの流れに一石を投じる言葉でもあると思います。
 著者の、この佐藤ママさん、そんじょそこらのコンサルさんやプロマネさんよりもずっと、子どもの教育に関する母親業において、プロフェッショナルと言えますね!。。奥付のプロフィールにあった“専業主婦”という文字が、立派な職業名として浮き立って見えました。

 我が家に関して、今から佐藤家のような環境づくりは、もはやできそうにありませんが、“一緒に楽しんで勉強する”ことだけは、実践したいという気持ちでいっぱいです。4人もお子さんがいて、家族みんなで同じテーマについて深く議論できるなんて、本当に楽しそう!!! “自立”に関する認識も、ちょっと改めないといけないかな…と思わされた一冊でした。

【後追い感想】 あとからふと、佐藤ママの兄弟への接し方が素晴らしいな、と思いました。兄も弟も妹もなく、皆平等に扱う。。。コレも、なかなかできることではありませんね。一方、本書のタイトルはちょっと、母親不在で頑張っている子に失礼だなぁ…と感じてしまいました。

 

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2017年2月28日 (火)

『楽しく学べる「知財」入門』

20170222_5  『女子大生マイの特許ファイル』、『すばらしき特殊特許の世界』を以前拝読しましたが、その著者であり知財啓蒙家の稲森謙太郎先生(ペンネーム)が、満を持し、本名で上梓された講談社現代新書『楽しく学べる「知財」入門』を読了(カバー画像を引用させていただきます)。
 序章を除くと全4章で構成され、第1章は著作権(66p.)、第2章は商標権(76p.)、第3章は特許・実用新案・意匠権(66p.)、第4章は知財の複合化と知財もどき(46p.)ということで、これまでのご著書が主に特許を中心に書かれていたのに対し、著作権と商標権と知財権の複合化等に多くのページが割かれていたのが特徴的でした。しかも、特許については前作や前々作の“とんでも”感を引きずって、一般読者にとっての“楽しさ”を優先している風なのに比べ、他の知財権については、面白く読ませてくれつつも、かなり考えさせられる内容で、権利処理関係の仕事に携わる方々には必読かも、と思えました。
 よくぞこれだけの分量の具体例を新書に盛り込めた!と感嘆するほど、印象的な事例が散りばめられ、毎度おなじみの、「疑問点は当事者に直接投げかけ、回答を引用する」スタイルも健在!! また、2017年1月時点で触れられる限りの最新ケースもふんだんに取り込まれています!!! さらに、通常の知財の専門書では、審査認定や審決や判決の妥当性について、あまり独自の感想等は書かれないのが常ですが、忌憚ない感想や事例の裏事情の推測に軽く触れることで、一般読者の興味喚起を促しているようにも感じられました。
 個人的に特に感じたのは、法的論点はきちんと検討されるべきであるのは当然ながら、現実の商取引や契約・権利処理では、当事者間の関係性や考え方次第で、法的にはうまく説明できない運用が数多くなされているんだ、という皮肉。私自身、過去の仕事を振り返ると、権利者にわざわざ許諾を得る必要のない件についても、後々のことを考えて、念のため“お断りを入れて”おいたことが多々あったなぁ…。
 本書の終わりの方で、徳島県にある大塚国際美術館が紹介されていますが、ここでは、世界25か国190以上の美術館が所蔵する西洋名画の複製を観ることができるそうです。ニュースで紹介されていた時も「行きたい!」と思いましたが、本書を読んでますます行きたくなりました♪
 既存の権利をできるだけ長く存続させて、活動のアドバンテージを確保することも大切な半面、一定のメリットを享受した後は、思い切って広い利用に供することも、重要な社会貢献になりうることを踏まえておかないとだなぁ~と感じます。
 書店や図書館に行くと、その膨大な文芸著作の山に眩暈がしてしまう私でしたが、本書を読んで以降は、覚醒している限り、身の回りに溢れる知財の山に眩暈がしてしまいそうになっています(泣)。
 長年の知財ウォッチの成果を余すところなくご紹介いただき、とても勉強になりました。ありがとうございました!

【法のデザイン】 次は、『法のデザイン』、行きま~す。

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