タイムスリップ1997-12
ママのかわいい子猿ちゃん
通勤電車は、つわり中の妊婦にとっては地獄です。最近では妊婦マークも一般的になってきてますね。
私は、田園都市線と半蔵門線を使って通勤している。都心に向かう電車はどれもそうだろうが、このラインも、朝晩のラッシュアワーの時には、ものすごい混雑ぶりだ。幸い、私の場合、朝は遅めの出勤なので、それほど混んだ電車に乗らなくても済んでいたし、妊娠してからは、極力空いた電車に乗って座って行くようにしていた。電車というのは、ただでさえ妊婦にはつらい。乗るまでの階段の昇り降り、高い網棚、たくさんの人いきれ、・・・。これに、超満員と長時間が加わったら、まさに地獄の苦しみだ。
この頃、私はすっかり戻し癖がついていて、たいていの食後は戻していたし、ちょっと気分が悪くてもトイレに駆け込む始末だった。この日も朝から気持ちが悪くて、行きの電車でもかなり具合は悪かったのだが、途中から座れたので、なんとか出社した。仕事中だというのに、何かを口にしていないと気持ち悪くて、ひっきりなしにガムだの飴だのを食べ続けた。なんとかその日の仕事を終えて帰途についたのが8時半。この時間の電車はかなり混んでいる。初めのうちはなんともなかったのが、渋谷を過ぎたあたりから猛烈に気持ち悪くなり、ほとんど戻す寸前で無理矢理押し込めたものだから、尚更具合が悪くなった。飛び下りるにも、次の駅までまだ数分はかかるだろう。脂汗をかいて寒気がした。さすがに隣にいた女性が、「大丈夫ですか?」と声をかけてくれ、少し空間を作ってくれたので息は楽になった。
なんとか無事に自分の駅まで辿り着いたのだが、このときほど電車をうらめしく思ったことはなかった。私は、この通勤電車地獄を、帰りだけ乗り切ればよかったからまだましなものの、行きも帰りもぎゅうぎゅうの満員状態で通勤している妊婦さんなんているんだろうか? 私なら絶対に出社拒否だ。
路線にもよるのだろうけれど、JRは、優先席に妊婦や子連れのお母さんも加えていた。それが、東急線も地下鉄も、優先席はハンディキャップをもった人か御老人しか指定していないから、なんとなく優先席にも座りづらかった。普段あまりJRに感心したことはなかったが、妊娠して、あの優先席のロゴマークを見たときは、「ああ、JRってなんて優しいの!」と感じ入った私である。
ちなみに、妊娠中、私が電車内で席を譲られたのは1回きりだった。それも、まだ妊娠五~六ヶ月でお腹の出っ張りも目立たぬ頃、休日のすいた電車で、4人家族で並んで座っていたお母さんの前に立ったら、「あら、気がつかなくてごめんなさい、どうぞどうぞ」と言ってくれたのだった。まだ妊婦の自覚もない頃だったので、内心『えー、もうそんなに目立つかなぁ』と少々ショックだった。でも、お腹が大きくなったら、こうやって周囲の人が皆親切に席を譲ってくれるものなんだと、タカをくくってしまった。ところが、席を譲られたのはこれが最初で最後という、なんとも悲しい結末だった。出産後、私の前にお腹の大きな人がいたら、まっ先に席を譲ろうと、心に誓っている。
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