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2006年6月22日 (木)

タイムスリップ1997-18

ママのかわいい子猿ちゃん

 キミがお腹にいることは、とっても幸せなことなので、ときどき自己嫌悪に陥ったりすることも、正直なくはなかったんですよ。

17 膨らむお腹と自己嫌悪 

 10月半ばのある朝、おや?っと思うくらいお腹が膨らんできたことに気付いた。これまでは妊娠とは名ばかりで、ほとんど自分でもわからないくらい、ちょっと太ったかな?というレベルのお腹だったのが、この日は明らかに「プクっ」といった感じで、「この辺にいるな」というのが実感としてわかった。胎動はさすがにまだだったが、つわりがだいぶ軽くなってき始め、気分的にも余裕が出てきた頃だったので、お腹が大きくなることも、楽しみに感じられていた。まだまだひと事で、お腹が大きくなるってどんな感じなんだろう・・・という興味の方が先行していた平和な時代だった。
 ただ、会社に出るとなんとなく、「会社に妊婦」という構図がとても不自然に感じる自分がいて、妙に遠慮してコソコソしてしまったりした。エントランスホールの来客が多いエリアはささっと通り抜け、編集部の自分の席まで一直線。別に悪いことをしたわけでもないのに、不思議と人目を避けたりする。「堂々としていよう」と意識すればするほど逆効果だったりする。普段は、登山好きなこともあって、重い荷物など苦にせず運ぶが、お腹が目立ってくると周囲の人も気を使って、運んでくれたりしてしまうから、余計に肩身が狭く感じたりする。気持ちが悪くなっても社内ではなかなか横になって休むこともできず、不機嫌なまま席にいなければならない。食欲も湧かないと、他の人とのランチも疎遠になる。
 こうした日常のちょっとしたことの積み重ねで、気分がだんだん後ろ向きになり、自己嫌悪に陥った時期がこのころだった。客観的に見て、だんだん太って醜くなる人間が会社にいるデメリットを直言されても抵抗はできないと感じて、どんどん腰が低くなっていくような気がしたり、そんな自分が嫌で逆に不遜に構えてしまうことがまた腹立たしかったり、と、何を取っても納得できないのだった。
 ところがある日、社内で知り合いの男性に久しぶりに通りすがった時、その人が「あれ、おめでた?」とにこやかに声をかけてくれ、「おめでとー! 大事にしてね」と自然に言ってくれたのを聞いて、とても嬉しかった。その人の雰囲気の中に、子供を産むことがとても自然なことでしかも大切なことなんだという認識があるのを感じ取れて、そういう見方で接してくれる人がいて、心強く思ったのだった。世の闘うビジネスマンやビジネスウーマンの中でどれくらいの割合の人が、こうした姿勢を自然に取ってくれるのかはわからない。以前の私はどちらかと言えば、妊娠するような女性は戦力外、という見方をする人間だったかもしれない。こういう状況に自分が陥って初めて、別の視点が得られたような気がする。

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