タイムスリップ1997-7
ママのかわいい子猿ちゃん
最近ではだいぶ禁煙が進んでいますが、キミがママのお腹にいるころは、回りに結構喫煙者がいました。
たいてい、編集部といえば煙たいものだ。最近のアメリカなどでは、喫煙者は軽蔑されるものだと思うが、日本の、特に編集部という場所では、まだまだ非喫煙者の方が肩身が狭かったりする。一応まっとうな私の会社でも、名目的には館内禁煙で通っていたのだが、編集のフロアではかなりの部分、有名無実と化していた。
私は喫煙はしないが、喫煙者を激しく糾弾するような非喫煙者ではなかったから、編集部でも、同じ非喫煙者同士で机を並べるような形で、煙をしのいでいた。「禁煙!」と声高に叫んで、部員がイライラをつのらせても、こちらも迷惑というものだ。
中学生の頃、実験でタバコの煙りを顕微鏡で見たことがあったが、そのおぞましさは忘れられない。黒い粒(「となりのトトロ」のまっくろくろすけみたいなもの)がフワフワと浮遊して、いかにも毒々しい感じだった。あれが自分の肺の中に付着すると考えたら、絶対にタバコなんて吸えない(と、私は思う)。自虐的・能率優先者は、それでもタバコを吸うのだろうから、こちらに被害が及ばなければ、それを止める権利はない。が、こと妊娠した場合には少し態度が変わってくる。被害の程度が予測できないから、ほんのちょっとのことでも慎重にならざるをえないのだ。我が身でなく、新しい命に対しては、まっさらな形で産み落としてやりたいと思うのが人情というものではなかろうか。
今どき、食べ物にだって大気にだって、有害なものは数多くあるだろうから、タバコ一つを悪者にはできないことは、頭ではよーくわかっていた。しかし、身体がそれを許さないのだった。とにかく煙りを少しでも吸おうものなら、頭がズキズキして吐き気を催し、気持ち悪くなる。思わず息を止めて、煙たくない所まで避難した。妊娠中だけは、喫煙者のことを本当にうらめしく思った(喫煙者の皆さん、ごめんなさい)。一体全体、身体のどこがどう変化して、こんなにも敏感になってしまったのか? 鼻か、肺か、ホルモンのバランスか?子宮内の赤ちゃんに煙たさが探知できるはずもないから、母性本能がそうさせたのか?それにしても人体というのは不思議なもので、タバコの煙りを毛嫌いし始めてからというもの、けむい場所では鼻づまりがひどくなった。自然に自己防衛本能が発動していたのかもしれない。空気の汚いところでは鼻毛の伸びが早いというのは、本人の感じ方に大きく依存しているのだろうか?
こうした経験からまたしても私は、自分の身体や感情に心地よいことは自然と促進され、心地良くないことは自然と防衛されるように、人体はできているのだ、と思うようになった。
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