« オリンピックまであと100日 | トップページ | 青い鳥文庫ジュニア編集者レポート »

2008年5月 1日 (木)

小学校学習指導要領解説

 夏日のような暑さが続くが、今日からいよいよ五月。夫が3月号の物理学会誌を持って帰ってきた。その中に、“シリーズ「物理教育は今」”という小特集があった。3月号ではそのうち、小学校理科の学習指導要領の問題点について議論している。
 おかしな考えが国家の教育方針の基本理念となっている――ということで、いくつかの事例が紹介されていた。中でも驚いたのが「自然の特性は人間の創造の産物である」という考え方。極端にいえば「2+2=5という数学もあり得る」から四則演算の練習や九九の暗記は有害で、もっと高度な思考を育てる必要がある、ということだそうだ。指導要領の「目標」には、「自然に親しみ、見通しをもって観察、実験などを行い…」とある。昭和43年当時にはなかった“見通しをもって”という文言に、“人為的な操作の重要性”を見た著者たちは、危機感を唱えているのだった。
 正直、現場の教員が学習指導要領やその解説に細かく目を通しているとは思えない。それでも、こうした人間中心主義は私も危険だと思うし、国の教育を方向づける人がこんな考え方をしているのはショックだ。ただ、私が今の教育で問題だと感じるのは、すべての人がやたら専門領域に偏った暮らしや考え方をする中、誰もオールラウンドに見渡せる人がいないことではないかと思っている。上に紹介した物理学会誌の議論も、なんとなく机上の論理めいて現場を納得させ突き動かすほどの力はないし、実務者にとっては学者の言葉遊びくらいにしか見えないかもしれない。本当に危機感をもつなら、もっともっとムーヴメントを起こせるだけの表現方法を考える必要があるだろう。憂うことは簡単だけれど、動くことは容易ではない。
 学校・塾・親やTV・出版・新聞などがそれぞれアメーバのように子どもたちの教育環境を取り巻き、独自の考え方で子どもを方向付けている。。。市場原理までが食い込んできて、想像すると恐ろしい世界だな。

「成績照会公開日まで、あと47日」

|

« オリンピックまであと100日 | トップページ | 青い鳥文庫ジュニア編集者レポート »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« オリンピックまであと100日 | トップページ | 青い鳥文庫ジュニア編集者レポート »