『死神の精度』(Accuracy of Death)
先の本屋さん大賞を『ゴールデンスランバー』で受賞し、直木賞を辞退した、話題の伊坂幸太郎さんの『死神の精度』を読んだ。夫が読み終えて積んであった文庫本の中からつまみ上げて、という失礼な出会いだったのだが。。。とても面白く拝読した。
初めて読むこの著者が、法学部出身で、システムエンジニアの仕事から小説家になったということに、まず驚いた。法律文ともプログラムともおよそかけ離れた、印象的な比喩の多い文体。ミステリーともファンタジーとも純文学ともつかない、国籍不明な村上春樹系譜のノーボーダーな雰囲気。テレビで見た伊坂さんは、頑固だけれど誠実で、はにかみ屋でもある印象だったが、ストーリーや文章にも、そんな彼の人となりの匂いがあった。時空超越版「パルプフィクション」のような、見事なオムニバスだった。
最近の息子の口癖「誰でもみんな、いつかは死ぬんだよ」が、こんなところでこんな作品になってたぁ~!というシンクロニシティ。「“どうぶつの森”って永遠に終わりがなくて、いつかは飽きちゃう」という息子周辺の子どもたちのつぶやきにも納得の一作。人生にはいろんな死があるけれど、人生がちょっとだけ“眩しく嬉しく”感じられる一冊だった。(英文タイトルの方がしっくりくるのが不思議……)
秋期試験まであと65日
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