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2008年8月 7日 (木)

プロフェッショナル仕事の流儀“宮崎駿のすべて”

Pro20080806  録画しておいた番組を見た。アニメ作家の宮崎駿さんの特集だ。彼の『出発点』や、ロッキング・オンの渋谷陽一さんのインタビュー集などは過去に読んでいるが、やはり映像としてのルポは説得力が違う。宮崎さんが6歳のときにお母様が骨髄性結核で寝たきりになってしまったことなど初めて知った。四人兄弟の二男だが、長男のインタビューで「本を読むか絵を書くかしかしない男で、弟たちの中で一番心配だった。こもるタイプだから、サラリーマンとして社会でやっていくことは難しく思えた」というような話もあった。「人を楽しませることができなければ、自分が存在する意味がない」というような哲学で、あくまでもエンタテインメントとして“映画の奴隷”となって仕事に打ち込む宮崎さんの67歳の姿が、巨匠の重責を感じさせた。好きな仕事に就いて才能を認められつつも、一時期、企画書を書いても書いても採用されない辛い三年間があったという。アニメージュの鈴木俊夫さんと出会い、「ナウシカ」の連載を始めて、ようやく「ナウシカ」アニメ化の後、大ヒットしたのが43歳のとき。ある意味遅咲きの監督の経歴。それでも、若い頃に温めた企画が、当時は採用されず、人生経験を積んだ後に改めて作品化したことで、2倍も3倍も豊かなトトロやラピュタになったことを思えば、当時採用しなかったお偉いさん方にも感謝せねばなるまい。
 しかししかし、宮崎さんのあの眼光の鋭さは、周囲にいる人たちにとっては身のすくむものではなかろうか。さしもの茂木健一郎さんさえ、相当ビビリながらインタビューしているように見えた。ビビるという表現は不適切かもしれない。いつもの茂木さんの明晰なトリミングが機能しなかったことが、宮崎さんの特性を表現しているとでもいおうか。。。常に表現者として瞬間瞬間を自身の中で再構築し続けている宮崎さんを、過去の蓄積で括ることはできないということだ。
 背景を横切って飛ぶ小さな鳥の絵を描いたアニメーターさんが「こんなんじゃ飛ばないよ!」と叱り飛ばされている様子は、気の毒にも思えたが、あのシーンこそ私には、宮崎さんの仕事への厳しさを象徴するよい場面だったと思えた。300人以上ものスタッフと共に一つのモノを創り上げるのだから、お互いに気を遣いながらの現場だろうが、時には遠慮会釈なく、“よい仕事”のために怒るエネルギー。宮崎さんの指摘すべてに納得できないこともあるだろうが、苦しみつつ刷り合わせながら完成まで漕ぎ着けたスタッフの皆さんにも拍手を送りたい。
 この番組のディレクターは、荒川さんという方らしいが、たった一人でカメラを抱え、書生としてスタジオに通いながらの長期間の取材、いろいろ考えさせられることも多かったのでは、と想像する。宮崎さんに肉薄するという意味では、正直物足りなかったのだけれど、そこはそれ、そうそう肉薄させてくれるような人じゃないことは承知しているので仕方ない。編集前の、荒川さんが撮った全録画を見てみたいものだ(笑)。

秋期試験まであと73日

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