露骨な嫌煙家
我が家は誰もタバコを吸わない。親戚も、吸う人はほとんどいない。ということで、息子は生まれながらの嫌煙家。しかし、相当露骨な嫌煙家なので、一緒にいる方はかなり気まずい。道を歩いていたり、レストランに入ったりしたとき、タバコを吸っている人を見ると、グッと口を押さえ眉をひそめてイヤ~な顔をする。そして路上なら足早に通り過ぎ、煙が見えなくなったところでプハーッと息継ぎするわけだ。
日曜の夜、珍しく外食しようということになり、近所の焼肉屋さんへ行った。当然分煙されているかと思いきや、店内すべて喫煙可で大失敗。入ったときには人が少なかったので気にしなかったが、だんだんと店内が混み合ってきて、私たちの後ろの席でも横の席でも、タバコを吸う人が出現! すると息子は「胸が苦しい!」と言い出し、胸を押さえたり口を押さえたりして苦しそうな顔をし始めた。そして大声で「モノを食べる場所でタバコを吸う人って、信じられないよ! あ~、ボクが癌になる確率が今1%増えた!」なんて言葉を次から次へと言い始める。「もー出ようよ! ケムくて食べてられない!」…こちらは顔から火が出る思いで、店の下調べをきちんとしなかったことを後悔しつつ、慌てて残りの肉を頬張る。たまの外食くらい、のんびりゆっくりと舌鼓をうちながら食べたかったのに、これじゃぁ食べた気がしない。注文分をあっという間に平らげて、ほうほうのていで出てきた。いやはや……。
喫煙家と嫌煙家の溝というのは、かなり深い気がする。私は昔、モクモクの編集部で仕事していたこともあるから、まぁタバコ好きの人の気持ちもわからぬではないが、夫も息子も、まるでゲジゲジでも見るかのような目で見て毛嫌いする。確かに、路上に平気で吸いカスを捨てる人には正直頭にくるし、人の煙でむせるのは気持ちが悪い。身体に悪いことを敢えてするデカダン的嗜好は勝手だが、人に迷惑はかけないで欲しい。……単なる趣味趣向の違いではなくて、呼吸器系をおびやかす生命に関わる習慣だから、溝は深まらざるをえない。喫煙家には肩身の狭い世相になりつつあるのは大歓迎だが、まだ、うちの息子ほど露骨に敬遠するほどには厳格になっていない世論。タスポが導入されると同時に、近所のampmがタバコ販売を始めた。喫煙家が足繁くそのコンビニに通っているのが傍目にもわかり、その周辺の環境が一気に悪くなった。“絶対に人に迷惑はかけない!”という強い意志のある喫煙家を期待するが、そういう強い意思のある人は、吸わないんだろうなぁ。(←差別発言ではなく、喫煙と逡巡が兄弟みたいなもんだと思っているというだけです)
神奈川県では、禁煙条例が発令されたらしい。せめて全国で、分煙の徹底化だけはしっかりとして欲しいな。
| 固定リンク
コメント