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2008年11月28日 (金)

五嶋節さん教育講演会

 木曜日、なんとか学校に復帰した息子を送り出した後、塾主催の教育講演会に行った。演者は五嶋節さん。五嶋みどり・龍 両バイオリニストのお母様だ。以前から、このお母様は一体全体どうやって、小さいうちから子どもに音楽教育を施し、プロの腕前になるまで育て上げたのだろう?と興味津々だったため、この講演会のチラシが配られた時には即座に申し込んだのだった。
 会場は文京シビックホール大ホール。満席を埋めるお母様方の熱い視線が壇上の五嶋さんに向かう。河内弁で淀みなくしゃべる節さんは、まさに筋金入りの教育ママだった。まず、1時間45分、息も切らせず話し続けるパワーがすごい。子どもを叱るのはエネルギーがいる、とおっしゃっていたが、17歳違いの二人のお子さんを叱咤し続けて手に入れたパワフルさなのだろうか…? 節さんのいくつかの教育方針が示されたが、それらは以下のようなことだった。
・笑うこと
・勉強の目的を教えること
・愛情をたっぷり表現すること
・競争する喜びを教えること
特に系統だって話されたというより、あちこちと楽しく脱線しつつ示された目安だが、どれにも大きく頷いた私。しかし、それより何より、息子の龍さんをアメリカで育てた経験談がとにかく面白かった。みどりさんのバイオリン修行のため、家族で渡米に付き合った形だが、龍さんは小学2年生くらいまで英語があまり話せなかったという。また、真珠湾後遺症で節さん自身も日本人というだけで苛められたりもしたらしく、必ずしも快適なだけの暮らしではなかったようだ。それでも、「我が子をなんとか立派に育てたい」という節さんの意思は強く、あらゆる学びにStoryやHistoryというスパイスを加えながら、丸暗記だけに留まらない未来志向の教育を心がけたということだ。時間の節約のために、ご飯中には子どもに教科書を読ませ、節さんがご飯を口に運んでやったり、靴下を履かせてやったりと、(ほんまかいな)と思うくらいのこともしていたというから驚きだが、練習の欠かせない音楽活動には、それくらいしないとダメなのか?!と、のけぞった。
 龍さんは小学6年生のとき、勉強する目的について「有名になりたいから」と言っていたとのこと。それでも空手やゴルフなどスポーツに明け暮れつつ小中高校時代を過ごし、成績は上がったり下がったりだったとか。しかし高校4年(アメリカでは高校は4年までだそうだ)の時、すっぱりと遊びはやめて勉強に打ち込み、SATという大学入学の第一志望テストで見事ハーバードに合格! 物理や英語の科目ではフルスコア(満点)での合格というから、本当に猛勉強したのだろう。しかし、9月に合格してしまってから翌年の入学まで遊び呆けた末、事故で足を骨折し、車椅子でハーバードのクラス ショッピング(受講講義を選択する作業)を節さんと一緒に行うことに。レベル別のいろいろな講義を回って見学し、「自分がいかにアホかがわかった」と言ったそうだ。そして、小6の頃はっきり意識していた“有名になる”という目的意識さえ、現段階では「わからない」とのこと。もちろん、龍さんのバイオリンの音をこよなく愛する節さんとしては、一流のバイオリニストになってくれるのが希望だが、現役ハーバード大生は、今も自身の行く末に対する模索を続けているそうだ。だからこそ、“どこどこ大学に行く!”という程度の目標は可愛いもので、その先の展望こそが大切なのだということだ。
 話の終盤で、“過保護上等!”(いくらでも手をかけてOK!)、“古着上等!”(子どもの教育費捻出のためなら倹約の限りを尽くす!)といった、節さん流子育ての心意気も紹介され、とにもかくにも熱血教育ママの信条にひれ伏してしまいそうなひとときだった。
 帰宅後、息子に「何のために勉強する?」と訊いたら、「生きるため?」と疑問形で応えて来た。「龍さんは小学生の頃は“有名になるため”だったんだって」と言ったら、「セコイ!古い!」と怒り口調でつぶやいた。おそらく、一昔前の“末は博士か大臣か”とか“立身出世”とか、そんな雰囲気を感じたのかもしれない。ちょっと違うんだけどねぇ~。

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