「特許・実用新案法」~11 所感
入門講座の約半分に相当する「特許・実用新案法」部分の聴講が終わった。第9章途中の特許無効審判から、国際特許出願、実用新案制度、実用新案権取得までの流れ、第13章の実用新案技術評価制度まで、後半かなりの急ピッチで消化不良な感じは否めない。
不明点が山積みの中で所感を記しても意味ないかもしれないが、初学者のごくごく率直な印象として、2点のことがとても気になった。
1つは、新規性や進歩性の検証は地球規模の文献で行うのに、権利行使は国内で、というのがすごく不思議だと思ったこと。国境や言葉の問題はあるにせよ、“世界特許庁”という括りで審査していかなければ、今後ますます空気のようにアイディアはノーボーダーになっていくだろうに―――(海外から著作権侵害で訴えられることって、あるよなぁ)。
もう1つは、実用新案制度のメリットって、どのくらいあるんだろう?ということ。テキストにも、メリット・デメリット両方あるから、権利取得の際は熟考が必要と書いてあるけれど、そもそも「無審査登録主義」(差し障りなく書けば「早期登録主義」)というネーミングには大いなる矛盾があるのでは? 出願料や登録料を支払うのに、実体審査もしてもらえず、自己責任で広範な調査をしなければならず、すぐ登録になるのはいいが、いつどこから無効審判を請求されるかヒヤヒヤしながら事業を展開して、侵害者を見つけたら再度お金を払って技術評価や鑑定を依頼するが、それらには何の法的根拠も認められないなんて! 一体この過程のどこで、国は責任をもってくれているのだろう? “登録”と言うからには“対世効”があると言えると思うが、こんな危なっかしい登録って、ありがた迷惑な感じがする。要するに「保護と利用のバランス」という観点の“保護されてる感”があまりにも少なく感じられてしまうのだ。かつては、高度成長時代の端緒にいて、海外のアイディア群から国内アイディアを守り、中小企業の唯一の武器とも目されていた実用新案権だろうが、現行制度下でこれが武器になると考える中小企業って、どのくらいいるんだろう? 自発的調査のためのデータベースの充実度なども気になる。Google ScholarとかGoogle Patent Searchと併せ、特許庁やNRIやその他企業による判例・審決・公報などの各種データベースがいろいろあるけれど、全部ひっくるめて一本化した方が利便性はずっといいだろうになぁ。
段階を追って進化せざるをえないのは仕方ないけれど、聴くところによると弁理士って、わが国では最も古い資格の部類だとか。弁護士よりも古い。しかも最先端の研究に関する事務手続きを行う仕事だ。その割りには、電子化作業なども遅かったような気がするんだよなぁ。。。
まぁ、いろいろとわからないことだらけだが、引き続き「意匠法」「商標法」「条約」「著作権法」「不正競争防止法」と見ていくうちに、少しずつ氷解していくことを期待しよう。
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