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2009年3月20日 (金)

「著作権法」所感

 弁理士試験の短答では60点中5点の配点しかない著作権法については、問題も易しめなものが多いせいか、予備校での講義は一講義で済まされてしまった。長年、著作権のうちの複製権に基づき出版権を設定してもらうことでおまんまを食べていた身としては、興味深い分野なのだけれど致仕方ない。
 個人的にはGoogleブックサーチやJASRACの問題、YouTubeやらセカンドライフやらを取り巻く環境などの変移を見守っている状況だが、講義の中でおもしろいと思ったのは“映画”と“ゲームソフト”と“コンピュータプログラム”の取扱いだった。
 共同著作物の極みともいえる映画は、著作権法の中ではかなり特別扱いされている感じ。現状の配給制の下での映画では、譲渡によっても“頒布権”は消尽しない。また、映画同様、視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され物に固定されているゲームソフトというのは、法律上“映画の著作物”として取り扱われるという。しかし、家庭用ゲームソフトは、公衆に提供することを目的としていないため、譲渡によって“頒布権”は消尽すると考えられている。ゲームソフトが映画として取り扱われるのをおもしろく感じる一方、「ゲームソフトってコンピュータプログラムだよね?」とも思え、そのあたりの整合性が気にかかる。また、特許法でも著作権法でも守られうるコンピュータプログラムだが、職務発明または職務著作としてプログラムを観た場合、一方では発明者として人格権があるのに対し、もう一方では著作者人格権を得られないという矛盾が、なんだかプログラマーの悲哀を感じさせる。どんなプログラムが特許として登録されているのか、またどんなプログラムが著作権登録簿に登録されているのか、その具体例が知りたいと思った。それに今どきは、コンピュータプログラムこそ共同著作物の極みという気もするし、考えていたら何だかこんがらがってきてしまった。
 最近のアニメの“YouTube公開”とか、プログラム開発の“オープンソース化”とか、一定の権利放棄の動きとあわせて、著作権法の経済性というのも考える必要がありそうな気がした。

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