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2009年3月26日 (木)

「不正競争防止法」所感

 入門講座最後の「不正競争防止法」は、情報処理技術者試験でも頻繁に問われたから、“営業秘密”の3要件(秘密管理性・有用性・非公知性)やドメイン名に関する不正競争については既視感をもって眺めた。法目的に始まり、不正競争の限定列挙、適用除外、民事及び刑事上の救済措置まで、かなりコマゴマした類型別の解説は、脳細胞の死滅激しき私の頭には厄介な代物だが、60点中、著作権法と同じく5点分の配点で、しっかり暗記しておけば必ず正解できるとのこと。
 一般的に、“物権は消滅時効にかからない”というのが常識だが、営業秘密の使用に関する不正競争に対しては(物権的であろうがなかろうが)、消滅時効が平成2年から規定されている。一方、不正競争行為に対する罰則規定は年々厳しくなっているそうで、10年以下の懲役刑と1,000万円以下の罰金刑を併科することもできるようになっている。位置づけとしては意匠・商標法の一般則だが、商品・役務も問わず、求められる周知性もゆるく、個々的な事案に関してはかなり使い易い法律に感じられた。
 この講義を聴きながらずっと頭を離れなかったのが、“マジコン”をめぐる司法の判断だった。私自身は使ったことはないが、息子の何十本もあるDSソフトを見るにつけ、1つのマジコンに全部入れちゃえば、嵩張らなくていいのになぁ~と思ったことがある。著作権法に照らして、私的にゲームプログラムのバックアップを取るのは違法ではないし、マジコンを単に全ファイルの管理先として持つことも違法とは言えないだろう。バックアップファイルをアップロードして公衆に違法配布している人を著作権法の寄与侵害で訴えるのは難しいとWikipediaにあったが、任天堂などのゲーム会社数十社は、不正競争防止法を根拠に提訴した。まさに、2条1項10,11号のケースをリアルタイムで目の当たりにした感じだ。2009年2月末、東京地裁はマジコン販売業者に対して、マジコンの輸入販売禁止と在庫廃棄を命じる判決を言い渡したとのこと。今回の件では明らかに不正な図利目的が透けて見えるが、私的利用の利便性を鑑みると、論理構成としてはどうにも微妙な問題に感じられた。

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