最判平13.2.13「ときめきメモリアル事件」
土曜日、息子のサイエンス倶楽部(お題は食塩とホウ酸の飽和水溶液と結晶)の待ち時間のうちに、『短答試験過去問集』の著作権法部分をやっていて、面白い問題と遭遇した。平成18年に出題された判例問題だ。
コナミが1994年に発売した恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアル」の後継ソフトに関し、主人公のパラメータを改変する目的だけに用いられるメモリーカードを販売していた業者の罪状判断に関する最高裁の判例を問うものだった。結論は“本件メモリカードの使用により本件ゲームソフトの同一性保持権が侵害されたものということができ、……他人の使用による本件ゲームソフトの同一性保持権の侵害を惹起したものとして、被上告人に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと解するのが相当である”と書いてあった。
私が引っかかったのは、この“同一性保持権の侵害”という部分。たとえパラメータを勝手に改変して、ストーリーを本来とは違う範囲で変更させたとしても、それが“同一性保持権の侵害”と言えるのかどうかが疑問に感じられた。
パラメータ改変は、喩えるならスゴロクで人の見てないスキに「1」だったサイコロを「6」に変えて不当にコマを進めちゃうようなもので、この業者はその行為を幇助したとみなされたのだと思う。スゴロクの盤面設計自体を変えてしまったら同一性を害したと言えるかもしれないが、不正なパラメータ上げは、何かもっと別の言い方をすべきじゃないかなぁ~??と感じたのだった。(このメモリカードを使用すると、あらかじめ登録されているエンディング以外の、オリジナルなエンディングが見えたりするんだろうか…?!)
問題集を読んだ限りでの感想なので、まったく見当違いをしているかもしれず、実際の案件ではもっと本質的にゲームプログラム自体を改変するようなことをやっていたのかもしれない。ただ、解説を読むと単にパラメータを上げただけのように読めるので、ちょっと違和感を拭いきれなかったのだ。今度是非、きちんと判例集を読んでみよう!(それにしても、「ときメモ」に関して、最高裁の裁判官が真面目な顔で論じておられる姿を想像すると、どうにも笑いをこらえきれない…! スミマセン~)
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コメント
コメントありがとうございます。
判例研究盛りだくさんのページというわけでもなく、
万屋状態のブログですので、もう少し専門性を持って
書けるようになった段階で相互リンクお願いできれば
幸いですm(_ _)m
投稿: Taraco | 2009年5月18日 (月) 12時40分
突然のコメント失礼致します。
失礼ながら、相互リンクしていただきたくて、コメントさせていただきました。
http://sirube-note.com/judge/
もしよろしければ、こちらのページから相互リンク登録していただけましたら幸いです。
http://sirube-note.com/judge/link/register/
今後ともよろしくお願い致します。
wKTd0gYs
投稿: sirube | 2009年5月17日 (日) 09時00分