『Pluto』完結!
手塚治虫さんの「鉄腕アトム」をリメイクした浦沢直樹さんの「Pluto」が単行本で完結した。ロボットをめぐる人間の想像力は現実を遥かに超えて進化するけれど、現実もそれに負けじと追走する。日本のたいがいのロボット工学者は、「鉄腕アトム」か「機動戦士ガンダム」に触発されてその道に進んだと思われるが、どちらも結局人間の“心”に帰結(…というか後戻り)してしまうところが、人間の哀しい性。
完結本はしみじみとゆっくり拝読したのだけれど、本企画をプロデュースした長崎尚志氏の「あとがき」がすごく良かった。このシリーズはどの巻の「あとがき」も“読ませる”ものばかりだったが、やはりプロデュースする人の文章は一味違う。長崎さんは伝説の編集家でありクリエイターだが、彼の文章を読むのは実は初めて。40年の時を溯り、自身の小学生時代のこだわりを控えめに開陳しつつ、その思いをずっと温め続け、ついに自分なりの答えにたどりついた様は、この時代にあってことのほかズッシリきた。奇しくも日本の自衛隊が、海賊対策と称して多くの武器を携えてソマリア沖に派遣され、武器の使用基準もうやむやのまま緩和されるという皮肉。天国の手塚先生は泣いてるな。
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