NapsterとかWinnyとか
10月8日、2006年12月の京都地裁での一審判決を覆し、Winny開発者に逆転無罪の判決が出た。遠目に眺めている事件だけれど、結審がとても気になるのは事実だ。
2000年だったか、当時勤務していた出版社の先輩が、Napsterに関する本を企画し、私の周囲ではかなり話題になっていた。技術的におもしろいものだから、本もかなり売れるのではと見込んで、初刷は通常の書籍よりも多めだったと記憶する。しかしフタを開けてみると、Napsterのサービスに関心を持つ人は多くても、Napsterの技術に関心を持つ人はそう多くなく、本の売上は芳しくなかった。
その後も、いろいろなファイル交換・共有ソフトが登場し、進化を続けているらしい。今回の裁判も“著作権侵害幇助”というお題目になってしまっているけれど、これぞまさに、アーキテクチャ設計者の思想に基づく、コモンズの捉え方に根ざす問題とも思える。そもそも、現在の著作権法の枠組みは時代にそぐわない、という流れの中での裁判というだけでも厄介なのに。
もちろん結果的に見れば、極めて悪質な著作権侵害幇助をしてしまっているし、ソフトウェア開発者の自然な欲求として、とにかくたくさんの人に試してもらって、いろいろフィードバックしてほしい、という気持ちもあったと思う。著作権者の中にさえ、その権利にしがみつく人と、流通性の方を重視する人がいる。何をもって悪意の立証とするかは、デリケートすぎて私には到底わからない。果たして検察側は上告するのだろうか…?
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