法の不知は守られない…?
アドヴァンステキストでの逐条講義は、集中力を要すのでとても疲れるが、入門講義を聴き始めた当初よりもいろいろなことがわかるようになっているので、聴いていて面白い。“未成年者”“成年被後見人”“被保佐人”や、“特許管理人”“委任代理人”や、“質権”“抵当権”“譲渡担保”など、似て非なるものの違いが今頃になってやっとくっきりした(汗)。
そんな中、特30条の“意に反する公知”の説明中、師匠が「法の不知は守られない」とおっしゃった。以前もどこかで説明されたが、要するに「知りませんでした」では済まされないということだ。私自身、未だに“法の不知”状態にあると自覚しているけれど、平均的な一般市民には酷な言葉だなぁと思う。憲法、民法、刑法以下、いったいどれほどの法律があるのか…しかも、それを義務教育期間に勉強した記憶は、憲法のほんの数箇条を除いては記憶にない。法学部に行かない人でも、親や先生から、法律について何かしらの教えを受けているものなのだろうか? あるいは、何らかのトラブルに見舞われて初めて、みんなせっせと法律書を紐解いているのかな?
そう考えると、学生時代に校則すらまともに読まなかった私は、本当に“法の不知”の極みにいるのかもしれないけれど、知らず知らずのうちに法律に守られていたことも多いんだろうなぁ。
専業主婦になって、夫の共済保険で受けた健康診断の結果が返ってきたけれど、その書類を見ながら「あ~あ、法には不知でも守られちゃってるなぁ…」と違う意味で感慨に耽りつつ、国民皆保険に揺れるアメリカやら、日本国内でも健康保険に入れずにいる子どもを追いかけた毎日新聞社の「無保険の子」に思いを馳せた。
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コメント
イトウ様
お忙しいところ、私の勘違いを訂正していただいて
ありがとうございます。
>「意に反するに含まれる可能性があります。ご注意を。
」
とはっきり「含まれる」と書いてくださっていたのに
勝手に厳格な対処の方に読み替えてしまっていました。
勘違いしたまま進まずに済んでよかったです!
一人で勉強していては到底気付かないような細かな
部分について、こうしてコメントいただけると、
本当に励みになります。ご指摘、ありがとうございました!
投稿: Taraco | 2009年10月30日 (金) 06時35分
taraco様
私の表現が悪かったかもしれないので訂正します。
うっかり特許内容をメールで送信してしまった場合、
それは「意に反するに該当します。」
だから救済される可能性があります。
根拠は、そもそも秘密にしようとしていたのにも関わらずというのが意に反するの意味です。ということは、秘密にしようとする意志があれば、誤送信したことは意に反することに該当するということです。
投稿: イトウ | 2009年10月29日 (木) 22時44分
ご親切なアドバイス、ありがとうございます。
青本に「法の不知」という言葉での解説がなく、
スッキリわかっていなかったのですが、
「特許法を知らないで公知にしても、意に反する公知とはならない(吉藤p.92参照)」は
はっきりわかりました。
うっかりのメール誤送信で守秘義務のない人に知られてしまった場合も
特許法では救済されないのですね…
特実は厳格で意匠はユルめになっている、という感じでしょうか。
まだ吉藤先生等の基本書を購入していないのですが、
読む余裕ができたら入手してみます。
ありがとうございました!
投稿: Taraco | 2009年10月29日 (木) 21時06分
法の不知が意に反する公知に含まれるということです。
だから6月以内に出願しないといけません。
意に反するでも6月以内は条件でしょう?
基本書や青本に載っていると思いますが…。
ちなみに特許法でも、発明内容を記載したメールを
うっかり弁理士以外の人に間違えて送信した場合は
意に反するに含まれる可能性があります。ご注意を。
投稿: イトウ | 2009年10月29日 (木) 19時15分
えっ?!
それは、試験や博覧会以外の販売展示などでも適用される、という意味でしょうか?
さすがに、販売展示してしまってから6ヶ月以上が過ぎ、その後に意匠登録したくなって出願して、「6ヶ月以内じゃなきゃダメなんて知りませんでした~」という主張が認められる、という意味ではないですよね?
不躾な質問になりますが、意匠法で救われる「法の不知」を具体的に教えていただければ幸いです。
投稿: Taraco | 2009年10月29日 (木) 13時11分
特許法ではだめですが、
意匠法では「法の不知」でも新規喪失例外の適用がありますよ
投稿: | 2009年10月29日 (木) 11時29分