長官の年頭所感
2010年の長官による年頭所感が、特許庁のホームページ上に掲載されていた。本年は、日本で産業財産権制度が確立されて125年の節目にあたるのだとか。またこの10年で、世界における国際出願は60%以上も増加し、クロスライセンス契約などによる「オープンイノベーション」の動きも劇的に増えているそうだ。もはやグローバルな知財保護を前提に考えないと何事も立ち行かない現在、特許庁で行われているいくつかの改革の成果が紹介されていた。「特許審査ハイウェイ(PPH)」や国際的なワークシェアリング、「スーパー早期審査」の対象範囲を拡大して「グリーン技術」も追加、地域団体商標制度の普及と活用促進のフォロー、審査請求料の減免や1年間繰延の猶予etc……。
「グリーン技術」の早期審査は時代の趨勢だろうけれど、審査においては、素材の調達や製造過程から廃棄まで、ライフサイクル全体を見据えて“グリーン”なのかどうか、じっくりと精査して欲しいな。自然大好きの私としては、きれいな空気や自由に歩きまわれる山野・河川が保たれて、いろんな奇妙奇天烈な生き物と上手に地上をシェアし続けたいと願うけれど、最近の“エコ”とか“グリーン”とかにはなんだか胡散臭さを感じる部分もある。グローバル化や産業の発展と、エコやグリーンな世界が矛盾なく成立するのかどうかも怪しんでしまうが、そういう懐疑的な気持ちを最大限持ち続けながら、「グリーン技術」とやらの進展を見守りたいなと思う。
年末年始の親戚の近況を聞くと、「年明けに太陽光パネルを屋根に設置する」とか「LED電球に変える」とかいう話も出ていたっけ。どれも、寿命とかランニングコストとかのデータは手に入りやすいのに、製造工程のこととか廃棄の先のことにはほとんど触れられていない。ライフサイクルアセスメントという評価手法が浸透しつつあるようだけれど、あまり目にとまらない。これからのエコ設備では、せめて同じ土俵のもの同士、同じ尺度でライフサイクル全般を比較できる指標が大切だと思う。そういう情報を是非充実させていってもらいたいものだ。
(…と、つらつら書いていたら、朝のニュースで、「カーボンフットプリント」という表示への取り組みがとっくに始まっていると紹介されていた)
とりあえず我が家のエコの第一の取り組みは、“消す”“買わない”“歩く”。なんだか消極的な取り組みばかりだなぁ(笑)。
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