問答箱の恩恵
私が目下受講中の講義を主催する予備校には、Web上で自由に受験生たちが交流できる「○○問答箱」という掲示板がある。これまではあまり覗いてみる時間も取れなかったのだが、先日の模擬試験でわからない問題があり、試みに質問を投稿してみた。
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第1回模試[55]-3枝について
以下の枝問が「×」となっているのですが、X国に受理官庁がある出願についてX国を領域指定してOKなんでしょうか?
「締約国Xに現実かつ真正の商業上の営業所を有する締約国Yの国民が、締約国Xを領域指定して国際出願をする場合には、Y国の官庁にされた標章登録出願又はY国の官庁の登録簿に登録された標章登録を、基礎出願又は基礎登録としなければならず、X国の官庁にされた標章登録出願又はX国の官庁の登録簿に登録された標章登録を、基礎出願又は基礎登録とすることはできない。」
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するとその翌日、どこの誰かは知らないけれど、ご親切に回答を寄せてくれた御仁がいた。
それによると、本国に受理官庁がある出願について本国を領域指定することはできない(議定書3条の2)のだけれど、本問の場合、文章途中の「基礎出願又は基礎登録としなければ『ならず』」の『ならず』が間違いなのだとのこと。あ~、言われてみればまったくその通り。私は、「X国が受理官庁なのにX国も領域指定されるのはおかしい!」と、問題文の最初と最後だけ見て回答していたのだった。嫌らしい問題だ(笑)。
謎が解けてスッキリしたわけだが、「本当にいい時代だなぁ…」としみじみもした。家で一人で勉強していて、わからないことがあったとき、見ず知らずの誰かが助けてくれるなんて! ありがたやありがたや。
この日、近所の奥さんから「プリンターが壊れちゃったみたいで動かないんだけど、見てくれる?」と電話が入った。おやすい御用でやんす。“恩は天下のまわりもの”とばかり、いそいそと出かけたのは言うまでもない。
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