久々の講演動画視聴
まだ知識が追いつかないというのに、論文の模範解答をひたすら書写していると、どうもむなしくなってくる。自分の言葉じゃないというストレスや、書き手による文章の違いが気になって、すぐにウロウロとよそ見したくなってしまうのだ。
そこで、気分転換と称して久々に偉い先生の講演動画を視聴してみた。今回は、前日本弁理士会会長の中島 淳先生による「ものづくりを支える弁理士の業務と、求められる資質」という講演。
ビジネスと知的創造サイクル
弁理士の業務と出願実務
本来業務に必要な資質
などの項目立てで理路整然とわかりやすい口調でお話しが進んだ。興味深かったのは、弁理士の仕事の最も重要な部分が「発明者へのインタビュー」であるということ。クレーム作成が仕事の比重の90%を占める、という中で、発明者との的確なコミュニケーションが最も難しく大切なことだという。
人は思っていることを正確には言えない/言わない
人は他人の言うことを正確には聞けない/聞かない
という前提で、いかに発明者の意図を正確に掴み、隠れた価値を引き出すことができるかによって、できあがる明細書は天と地ほどもクオリティが違ってくるらしい。もっとも、この最初期のクライアントとの打ち合わせが一番重要というのは、どんな仕事でも同じかもしれないが。
また、弁理士試験では、仕事に必要な「知識・スキル・マインド」のうちのほんの一部しか担保してくれないため、肝心なのは実務において精進し続けることだと。シーズとニーズをうまくつなげる「柔軟な目立てスキル」と「したたかな仕掛けスキル」を磨いて欲しいとのこと。そのためには“虫の眼・鳥の眼・地蔵の眼”を使い分け、専門性を高めつつも広い視野に立って、時代の流れを敏感に感じ続けていなければならないようだ。
煩雑な実務の詳細ではなく、プロフェッショナルとしての心構えについて訥々と諭された印象の、初心に帰る講演だった。どうもありがとうございました。
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コメント
桃次郎さま
コメントありがとうございます。
勉強の進捗ははかばかしくはないのですが、カメの歩みで一日少しずつでも何かしら進歩できれば…という気持ちで続けております。
「法律文化」のページは本当に、息抜きとモチベーションアップに最適と感じます。試験勉強は根気のいる仕事ですが、こういうものを糧に“楽しさ”とか“ビジョン”とかを温めていきたいものですね! 今後ともお互いにがんばりましょう♪
投稿: Taraco | 2010年6月 7日 (月) 08時38分
論文試験の準備を頑張っておられますね。
私は短答の結果が良くなかったので、今年はあきらめ、来年に向けての戦略を検討中です。まずは試験を頑張る動機づけのために、弁理士になってからのビジョンを明確にしようとしていました。そこでこの記事を発見し、さっそく講演動画を見てみました。
その結果、いろいろと得るものがありました。
私のブログに感想をかきましたので、よろしければご覧ください。その記事の中で、こちらのブログをみて気付いた旨を紹介させていただきましたが、よろしかったでしょうか。
いい講演動画を教えてしていただいて、どうもありがとうございました。
論文試験に向けて頑張ってください。
投稿: 桃次郎 | 2010年6月 6日 (日) 21時37分