判例集…
『知的財産法判例集』という、大渕哲也先生他が書かれた本をずっと手元に置いているが、これまではチラホラと拾い読みするだけだった。ここ数日で、このうちの特許・実用新案部分を通して読んでみた。一審→二審→三審という経過が見えるので、それぞれの事件が立体感をもって見えてくるが、世の中のあれこれについて、白黒つけるっていうのは本当に難しいことなんだなぁ…と実感する。裁判官の下す結論に「えっ?」と思ってしまうこともあるし、必ずしも公正さが無敵に見えないところがもどかしかったり。。。
以下、印象に残った7つの事件をメモメモ。
○メリヤス編機事件(最判昭51/3/10)
→拒絶理由は漏れなく吟味審理し尽くして前に進むべし!だな
○生ゴミ処理装置事件(最判平13/6/12)
→不正に気付いたら早急に何かしらのアクションを起こしておくべし!だな
○炭車トロ等脱線防止装置事件(最判昭37/12/7)
→クレーム解釈のシビアさは常々重々意識すべし!だな
○ボールスプライン事件(最判平10/2/24)
→均等論に頼りすぎず、出願当時の公知技術の把握分析と並行して検討すべし!だな
○ウォーキングビーム式過熱炉事件(最判昭61/10/3)
→先使用者にはきちんとある程度の権利範囲は保証される!んだな
○墜道管押抜工法事件(最判昭48/4/20)
→万全を期すには、最初に諸々を特約で取り付けておくべし!だな
○ヘアーブラシ意匠事件(大阪地判昭59/12/20)
→可能な限りは専用実施権者として登録をしておくべし!だな
本書も読みやすくよく整理してくれてあると思うけれど、試験対策用のもっと最適な判例集があるんだろうか?。。。今月中に全編読みきってしまいたいけれど、私ってホント、読むのが遅い…。
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コメント
イトウさま、こんにちは!
正林先生の『判例教室』、噂は聴いておりましたが、やはり便利なのですね。現在読んでいる本とどんなところが違うか、近いうちに比べてみたいと思います。ブログレッジの判例ブックというのは知りませんでした。こちらも機会があれば見てみようと思います。いつもありがとうございます。
投稿: Taraco | 2010年6月19日 (土) 06時24分
判例集で人気があるのは、正林先生の判例教室、プログレッジの判例ブックみたいですよ。
私は判例教室持っています。
原文と要約があって便利です。
投稿: イトウ | 2010年6月18日 (金) 22時09分