夫の嗜好
一緒に暮らしていると、相方の嗜好を日常の中で垣間見て、おもしろかったり不思議だったりすることがある。嗜好の一部でも共有できれば楽しかろうと、理解に努めようとは思うのだけれど、これがなかなか…(汗)。
つい先日も、直木賞の発表があった折、「絶対『天地明察』が受賞すると思ったのに…!」とくやしがり、直後から受賞作の『小さいおうち』を読んでいた夫。読み終えると、「ダメだな~、直木賞の審査員も…」と納得いかない様子でブツクサ言っていた。彼の嗜好からすると、研究者を主人公にした物語の方が感情移入しやすいんだろうけど、世の中は研究者ばっかりじゃないですからねぇ。。。「絶対感動するから、『天地明察』読んでみてよ」と再三勧められるも、息子の塾の復習やら自分のことで手一杯の私には、なかなか読む時間が取れない。時間があり余っていれば、そりゃー私だって読み比べてみたいのはやまやまなんだけれど…。
また数週間前には、“nature”のVol466のコピーを興奮気味に持ち帰った夫。「陽子のサイズがさぁ、これまで思われていたよりかなり小さいんじゃないかって、別の実験結果が出たらしいよ!」と言う。natureのコピーを7枚手渡されて唖然とする私。(こ・これを、私に読めと???)・・・・・・図だけ見ても、誤差の範囲をはるかに超えたサイズの違いだけは見てとれたが、正直「それが何か?」という印象。専門家にとっては“事件”かもしれないけれど、しがない主婦にとっては、陽子のサイズが0.88 femtometreだろうが0.84 femtometreだろうが、それが現実問題として自分の身に降りかかってこないと、なかなか取り合う気になれない。素人のこういう姿勢が、日本の基礎科学研究の足を引っ張っているんだろうなぁとは思いつつ、申し訳なくも、コピー用紙は数週間、リビングの机上に埋もれたまま。時間があり余っていれば、そりゃー私だって読んでみたいのはやまやまなんだけれど…。
かくして、一つ屋根の下に暮らしていても、なかなか嗜好を共有するのは難しいという事実だけが、着実に積み上げられていくのだった。
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