息子の読書感想
過日、苦労して買ってきてやった茂木健一郎さんの『ひとり遊びのススメ』という本。息子は、翌日の夕方にソファに寝転がって、1時間ほどであっという間に読破してしまったが、彼が本を読んでいる姿を見るのは本当に面白い。今回は私も事前に読んでいたから、話の流れをわきまえており、息子がどんなところに反応しているかが手に取るようにわかったので尚更。
はじめのうちは、巻頭の茂木さんの赤ちゃんの頃の写真とか、蝶にまつわる話など、表面的な部分をおもしろがっていた。その後、出会った先生やアインシュタインの本の話などはずいぶん神妙な顔で読み進めた。受験の話や孤独についてのシリアスな場面では、それこそ泣きそうな顔で。。。そして、茂木さんの生涯の畏友の名前が、自分と同じ名前だと知って、なんとなく楽しそうに。。。さらに、「遊びが大事」というチャプターでは目を輝かせてフムフムと。。。最終部分の「出会いの大切さ」とか「セレンディピティ」とか「若さ」の話はもう一気呵成に読み切って、いよいよ読み終わろうかというところで、いつもの質問が飛んできた。
「あのさぁ、“大リーグボール1号”って、バッターのバットに当てるやつだよね?」
「そうだよ~、茂木さんも“巨人の星”にハマったんだね~」
と気楽に答えたが、納得いかないといった顔の息子。茂木さんの本の一部を私に指し示し、「これ、変じゃない?」と尋ねてきた。そこには、こんな文章が―――
――ぼくの掌から相手のミットに投げ込まれる球が「大リーグボール一号」になるまで、これからもありとあらゆる本を読み、感覚の回路を万方に開き、一人でもトレーニングを続けていく覚悟です。――
要するに、“茂木さんなりの成果が出せるまで、精進を続ける”という意味合いの比喩なわけだが、息子は「相手のミットに投げ込まれる球は、永遠に大リーグボール一号にはならないよ」と言うのである。言われてみると半分もっともな気はするが、屁理屈のようでもあり、私の思考までループに落ち込んだ。
「う~ん、茂木さんは一生がんばり続けるってことじゃない?」とお茶を濁し、深追いしないことに…(汗)。
かくして息子の今回の読書は、茂木健一郎さんが大リーグボール一号を投げる日は来るのか?!という深い謎に包まれて終わったのであった。。。
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