「アースベルト事件」判例の射程
目下、論文講座知識編の講義を聴講中。昨日聴いた中に「アースベルト事件」判例の射程についての話があった。ご存じのとおり、補償金請求権に関する警告の論点で、“補正前から実施行為がクレームに属し、補正後も属していれば、再警告不要”という結論(最判昭和63年7月19日)だ。この判例の射程として、「補正後にクレームが拡張している場合」「補正後にクレームが変更になっている場合」でも、補正の前後を通して実施行為がクレームに属していれば、再警告は不要ではないかという学説が、吉藤・中山・渋谷等の錚々たる先生方によって提起されている、とあった。1回目の警告ですでに実施者は、自身の行為がクレームに属していることを知り得たことから、「悪意の行為者に対して警告が不要」と同視できるという趣旨らしい。これに対して、土肥・小谷等の先生方からは、再警告が必要だという学説も提示されているとのことで、意見が分かれる所だという。
師匠が「みなさんはどう思われますか?」と問うていた。
私個人はとっさに、「儀礼的に考えても、自分が権利変動のアクションを起こしたからには、先方にそれを明示しておくのが道理だし安全」と思った。けれどどうも、通説は「再警告不要」らしい。う~む…。
それ以前にそもそも、こんな細かいことで侃々諤々やる暇があったら、「どんな些細な補正であっても再警告必須」とルール化してしまった方が、おかしなトラブルも防げて明朗行動が取れるのでは???と思ってしまった。こういう思考をしている限り、私が論文試験を突破できる可能性はきわめて低いな…とも思った(涙)。講座を聴くにつけ、自分の単細胞ぶりを自覚させられる毎日である。
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