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2010年10月30日 (土)

ネガティブ?ポジティブ?

 息子が中学入試の過去問をやるのを見ていて、ときどき吹き出してしまうことがある。特に国語の読解問題への対応。「ぼくはそうは思わない」「この解答は作問者の押しつけだよー」と絶対に解答に納得しない場面が多いのだ。
 先日は、永井龍男さんの『黒い御飯』という自伝の一部を読んで、問題を解いていた…。
 お話は、“私”が小学校に入学する直前の日々の描写なのだが、病弱な父と、兄二人・母の5人家族で、貧しいながらも家族みんなが“私”の入学に向けた準備をしてくれるシーン。兄二人は、小学校も卒業できないまま工場に働きに出ていたが、その兄たちがカバンを買ってきてくれ、名前を書いてくれ、母は兄たちの紺がすりの着物を縫い直してくれた。また、ずいぶん色落ちした紺がすりを見た父が、それを釜で丸染めしてくれもした。しかし、丸染めしたその釜をよく洗って御飯を炊いたのに、炊きあがった御飯はうす黒くなってしまった…それを家族で食べながら「赤の御飯のかわりだね」と言って食卓を囲む…そんなつましい暮らしをした家族の思い出。。。
 要するに作者は、当時は恥ずかしいほど貧しい暮らしだったけれど、家族は精いっぱい自分のことを応援してくれ、「前途有望な少年」として勉学に励ませてくれたのだ、と気づき、大人になった今では感謝の気持ちでいる…というような内容なのだ。しかし、これを読んだ息子は、これは作者の嫌な思い出であり、貧しくて恥ずかしいうえに自分一人が勉強という重荷を背負わされて憂鬱だった…という風に読んだらしい。「ボクなら、自分も働きに出てバリバリ稼ぐ」のだと言う。「貧しさを恥じるより、その方がずっといいんじゃ?」ということらしい。お金を稼ぐ仕事の大変さをナメてるとしか言いようがないが、予想外の解釈に笑った。
 また別の日は、小学校で「運動会の思い出」の作文を書いたらしいのだが、息子はなんと、“短距離走のスタート地点で、そこに生えていたイチョウの樹から落ちた銀杏を男子達がつぶしてぶつけ合っていて嫌だった”という話を書いたらしい。先生が「この作文は授業参観の時に貼り出すから、嫌な話じゃなくて楽しかった思い出にして」と言って書き直しをさせられたとか(汗)。「やっぱり作文は、嫌な話より楽しい話を書く方がいいんじゃない?」とたしなめたら、「でもさ、楽しい思い出はすぐ消えるけど、嫌な思い出はなかなか消えないんだもん」と反発する。
 このように、何につけても一癖ある解釈をしがちな息子。中学入試の過去問の解答を見ていると、どれも聖人君子のような心根で解釈されており、息子のようなひねくれた解釈では到底得点できそうにない。「その考え方を変えろとは言わないからさ、せめてテストのときだけは、超ポジティブシンキングで人好きのする人気者になったつもりで回答してよ」と話したら、「う~ん…」と唸っていた。ネガティブなのかポジティブなのかよくわからないが、無感想よりはいいのかなぁ。。。

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