「ソーシャル・ネットワーク」
今まさに、中東の民衆デモ活発化の一翼を担っているといわれる“Facebook”の創始者にまつわる映画「ソーシャル・ネットワーク」を観てきた。
一言でいうなら“若気の至り映画”とでもいおうか。名門ハーバードの学生といえども(だからこそ?)、人間修養は容易ではないということが如実に現れていた。また、(当然のことだけれど)ビジネスの成功と品格とはまったく無関係ということ。さらにいうなら、いい悪いは別にして、多くの人は“学閥”に弱いということも。
極端な見方をすれば、この映画は、マーク・ザッカーバーグという一人の青年が、エリカという一人の女性との関係構築に、その端緒で失敗してしまい、その未練を営々とその後の活動のエネルギーにしたお話……ともいえるかもしれない。その意味では、タイトルが「Facebook」ではなく「ソーシャル・ネットワーク」だというのもうなづける。現実世界では不器用な人が生み出したからこその、画期的なソーシャル・ネットワーク・ツールなのか。。。
作品全体のスピード感は、まさにキレ者の起業家精神溢れる若者たちの神経伝達の俊敏さのごとく、息つく暇もない。目の前の仕事に没頭する集中力のすさまじさも、若者特有の過剰アドレナリン状態。ただ、それらは、昨今のビジネスやら政治やらによく見られるように、“熟慮”とか“黙考”を欠いた、ひたすら“饒舌”で“欲望的”な印象。インターネットのいい意味での特徴だった“とりあえずやってみる”という姿勢が、悪い意味で“いつでも書き換え可能”な軽率さになってしまっている感じだ。エリカの言葉を借りるなら、「人の言葉や行動は、鉛筆じゃなく、インクで書かれたもの」と言えるほど、取り返しのつきにくいものなのに―――。
アイディアを盗用されたと訴えたウィンクルボス兄弟の気持ちはわからなくはなかったが、彼らもまだまだお坊ちゃまだし、アイディアの種はかなり安直なエリート意識から発しているように思えた。知的財産の価値でいえば、やはりザッカーバーグが構築したサイトシステムの方に軍配が上がるんじゃなかろうか。
Napsterの産みの親であるショーン・パーカーという人が、(映画の描写が本当なら)あそこまでひどい奴だとは知らなかったが、「The Facebook」より「Facebook」にした方がクールだ、というアドバイスにだけはうなづいた。
私にはハッキングとかプログラミング技術の凄さがいまいち把握できないが、その筋の人に、そういう技術的な観点からの評価を聴かせてもらいたいなぁ~と思う。ここまで情報科学用語てんこ盛りな映画も珍しい。それにしても、学内で新しいサイトが立ち上がったからって、4時間で2万以上のアクセスがあるって…ハーバードの学生って意外に暇人なのか、好奇心旺盛というべきなのか…?!
……ほかにもいろいろ、感想やら思う所はあるけれど、“技能”と“人間性”、この両方を磨いていかないと、人間は一人前とは言えないのかもしれないなぁ~というのが素朴な感想。ただ、どっちかに偏って図抜けている方が、ドラマチックで面白くはあるんだけど。。。。まぁ、“すごく感動する映画”という部類ではないが、個人的には好きなテイストだし、「Inception」より興味深く観た気がする。果たして、オスカー取れるかなぁ~? 観た方がいたら、是非感想を聴かせてください~。
我が家のギーク向けに、帰りがけ、諸々のパンフを入手してきた。今年もアニメ映画、いっぱいあるなぁ~♪ 直近では、私は「マクロスF」を、息子は「遊戯王アンコール」を観たいんだけれど、自制しないとキリがない。。。
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