息子の中学受験2011 総括
一昨日の最終発表をもって、息子の中学受験2011が終了した。受験する方向で取り組み始めたのは5年生直前の2月頃からだと思うけれど、やはり佳境は6年生の夏休みとそれ以降だった。その間、私自身もいろいろな学校を見学し、いろんなことを考えた。正直、最初のうちは、義務教育期間にどうしてわざわざ私学を選ぶのか、そこまで息子は勉強が好きなのか、悶々とさせられたっけ。けれど、スポーツや音楽や囲碁・将棋などなど、思いつく限りの習い事を勧めてみても、息子が続けられたのは学習塾だけだった。座学嫌いのゲーマーだけれど、パズルやクイズが好きだったので、その延長として学習塾は継続できたんだと思う。スポーツ好きな子が学校以外のところでそのスポーツに明け暮れるのと同様に、クイズ好きな子が学校以外のところでクイズに明け暮れてもいいんじゃないか……そんな割り切りからの決断だった。とはいえ、明け暮れるというには程遠く、授業前小テストは全放棄、塾の宿題はほとんどやらない上に休みがちで、家では遊んでばかりの息子に、何度やめさせようと思ったことか…(汗)。
小学校生活を第一義にする息子は、学校でほとんど全精力を使い果たしてしまうため、家ではとにかく休み、その分塾の授業には死ぬほど集中する―――それだけを約束させて細々と続けた塾生活。そんな息子も、6年生の夏休みにどっぷりと塾漬けの生活をし、友達や先生から刺激を受けたのか、夏休み以降はずいぶんと自主的に、“受験勉強”に取り組むようになった。なんといっても大きな変化だったのは、日曜午前に行われた弱点克服授業。息子は社会と国語を選択し、毎週毎週繰り返すうち、国語は算数を凌ぐほどの得点源になってきたし、社会はなんとか平均くらいには伸びてきた。そうなると自信もつくのか、11月くらいからの成績は、メキメキと音がするような伸び具合(まぁ、もとがもとなだけに伸びるわけなんだが…)。私としては何より、“自主的”にがんばりはじめたことが嬉しかった。
そして迎えた入試シーズン。併願パターンはあれこれとずいぶん迷ったけれど、最終的に5校受験の予定にした。塾の偏差値表に従えば、D校→E校→C校→B校→F校と、図の緑の階段を昇降するようなイメージ。F校は私が気に入った学校で、自分が子どもだったら是非ここに入りたいと思った所。こうして、サッカーのPK戦に喩えて5本のシュートを放つことに決めたのだった。不思議なことに、学校の雰囲気も、先生の様子も、問題のクオリティも、塾の偏差値表とはほとんど相関ないように私には思えた。我が家が選んだ5校は、どこへ行くことになってもそれぞれに特徴があって、楽しい学園生活が送れるような気がした。
1本目、2本目と順調にシュートを決め、3本目も無事に決めてハットトリック確定の直後、息子がポソリとつぶやいた。「あ~、これで安心してA校を受けられる…」―――なにぃぃぃ?! A校は、当初から息子が第一希望にしていた学校だが、あまりに無謀だし、入ってからも苦労するんじゃないかという親心もあって、敢えて外していたというのに…。とはいえ、受験はあくまでも本人のもの。本人が後悔しないなら、好きにさせるか…。ということで、2月はB校→F校からB校→A校へと急遽予定変更。
実際に受験に付き合ってみると、子どもたちの能力は本当に“どんぐりの背比べ”で、ほんの些細な要因で、結果は簡単に変わる“水物”であることが実感された。半面、押しも押されもせぬ早熟君や天才君も少数ながら確実にいることも実感した。息子の場合、おじいちゃんおばあちゃん達のお守りが功を奏したとしか思えないアンビリーバボーな展開で、B校でもミラクル・シュートが決まり、残すところ自分で決断したA校受験のみ。それなりに手ごたえは感じていたようなのだが、残念ながら最後のシュートは決まらなかった……。可哀そうだとは思ったものの、取り組み方が中途半端だったことを思えば当然の結果のようにも思えた。合格発表の折、校舎裏で号泣しているお子さんを目にした私は、「こんなに愛着もって受験したお子さんがいる中で、即興受験の息子にご縁をいただいちゃぁ申し訳ない…」と思ってしまったくらい。案の定、息子は、見た目にはそれほどショックを受けるでもなく、コロリと気分転換できていたようだ。これもまたいい経験。進学先はB校に決定し、一件落着。
こうして、我が家の最初で最後の中学受験ライフが終わった。卒業までの30日強の日々、卒業準備やら入学準備やらに追われることになる。
これまで支えてくださった多くの方への感謝の気持ちを忘れない。学校や塾で息子と切磋琢磨してくれたお友達。「無理のないようにね」といつも声掛けしてくださったお隣さん。長くお休みさせていただいているにもかかわらず、電話で息子を声援してくださったサイエンス倶楽部の先生。受験後までフォローの電話を入れて、「お父さんお母さんにちゃんとお礼を言うんだよ」と最後の指導を下さったSAPIXの先生方。1つゴールを決めるたびに一緒に喜んで下さった担任の先生。私を通して“ガンバレ”の気を送ってくれた友人たち。遠くから見守ってくれたおじいちゃんおばあちゃん。本当にありがとうございました。
B校受験の際、『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』を読んだせいかはわからないが、“中学受験”と“ゆとり教育”が、“資本主義”と“社会主義”の相似形に見えて、理念的には社会主義に惹かれつつも資本主義を甘受している自分と、理念的にはゆとり教育に惹かれつつも中学受験なんぞに手を染めてしまった自分とが、まるで“嘘つきアーニャ”のようで、ちょっぴりホロ苦い開放感に浸っている。それでも、息子の純粋な努力は称賛に価すると思うし、人間はやっぱり、抗いがたい生存本能と、いかんともしがたい向上心を捨てられるもんじゃないんだと思う。スポーツでも芸術でも学問でも、自分が好きなことに邁進することは同等に素晴らしい。息子の本当のがんばり所もこれから! 今はただ、楽しく充実した中高時代を満喫してくれることを静かに願っておこう。
【?!】 こんなブログを書いてマッタリしていたら、なんとA校から「繰上合格候補者」の通知が?! これで電話連絡があったら、本当にスゴイことだけれど……!。電話があった場合、息子は当然のごとくA校に行くんだろうな。。。
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