条文にはどう書いてありますか?
先の土曜日から、今年の口述試験が始まっている。受験される方々は、ものすごい緊張の中、これまでの成果を出し切れるように臨まれていることだろう。
私が、これからの一年、常に意識しないといけないと思うのが、「条文にはどう書いてありますか?」という質問。全部を覚えようなんて無謀な挑戦はしたくてもできないが、キーとなる条文に絞って暗唱するくらいは、できなくちゃいけないんだろう。そんなことを考えるだけで、めまいがするけれど…(汗)。
先日、本ブログの「学問・資格」カテゴリーを振り返って、ザーッとつまみ読みしてみたら、勉強を始めた1年目が、最も本質的なことを考えながらやっていたように思えた。年を重ねるごとに、小手先の試験勉強になっている気がする。よくない傾向。ただ、来年4月1日施行になりそうな改正法については、当初から不自然に感じていた部分が変更されていることにちょっと感動した。
・74条の特許権の移転の特例に関しては「生ごみ処理装置事件」を受けて
(「登録に公信力はない」と言われたときは驚いたものだ…)
・99条の通常実施権の対抗力に関しては「登録と契約と公信力と信頼」の考察から
99条の話は、海外では以前から契約が尊重されていたと知って驚いた。
日本の方が、登録という形式的なことよりも信頼を重視しそうなのに、
意外と四角四面で融通がきかない国民性なのかな。
・49条7号の改正も、上記と同じく“契約”を尊重し、たとえ発明者であっても、
受ける権利を譲渡したら特別扱いはなし!と明記したという意味で、
人道的な印象。
・特許無効審判に対する訴えの提起と併せて訂正審判請求ができたことも。
素人的に自分が裁判官だったらたまらんな…と思っていたら、
改正後は「審決予告に対する訂正の請求」になるとのこと。
・126条の訂正審判が、請求項ごとにできなかったことについては、
特に何も考えていなかったが、言われてみれば、複数の無効審判に
都度対抗していくには、できた方がいいのだろうと思う。
・167条の一事不再理については、師匠が「憲法民法からみると問題あり」と
おっしゃっていたのを思い出す。
・104条の3に「延長登録無効審判」が抜けていたのなどは、
単に忘れていただけだろう…なんて推察もあるようで、
条文の人間臭さを垣間見るようで笑えてしまった(不謹慎でスミマセン)。
まぁ他にもこまごまと変更点はあるし、他法も厄介なことに変わりないが、「2012年、特許法大改正!」と恐れていたほどの総とっかえ状態でなかったことは確か。考えれば考えるほど気が遠くなるけれど、何事もポジティブに捉えてコツコツと…ですな。
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