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2011年12月 2日 (金)

「白い恋人」考

 先日、商標の講義を聴いていたら、先生がおっしゃった。
「査定系の類否と、侵害系の類否とでは、判断が異なる場合が多いです」―――

 これを聞いて、ふ~ん…と、先日の「面白い恋人」事件が講義とシンクロ。本件は誰の目にも明らかに、吉本に分はないと思うけれど、いくつかの記事を読んで悶々としていた私。(データベースに当たったりしておらず、すべて聞きかじりの域を出ないため、以下の内容の正確性は怪しいです)。

 ・石屋製菓は'90年代に「白い恋人」(菓子)の登録商標取得(以前より周知)
 ・吉本興業は、「菓子」に「面白い恋人」の商標を付して、当初大阪で販売(無断で)
 ・次第に販路を広げ、銀座にまで進出
 ・以前、「面白い恋人」(菓子)は商標登録出願されたが、拒絶
 ・石屋製菓が、見るに見かねて差止・損害賠償請求
一方、
 ・北海道のある会社が以前、「黒い恋人」(菓子等)を商標登録出願
 ・登録になっているが、使用は今のところなし(?)
 ・(「赤い恋人」(明太子入りコンニャク)というのも登録されているらしい)

非侵害主張の場面で、「需要者に広く知られるようになった商標は、一体不可分として識別力を有し、一体称呼にて取り扱える」とプレ答練にあったのを考えると、石屋製菓の「白い恋人」も、一体称呼として周知となっていると考えていいのだろう。外観・称呼・観念で各々の類否を考えたとき、「面白い恋人」と「黒い恋人」ではまぁ、観念はともかく、外観と称呼の上ではまるまる含んでいるという点で「面白い恋人」の方が類似度は高いのだと思うが、動機は双方パロディやポリューションでどっちもどっち。「白い恋人」はあまりに有名なため、出所混同は生じない旨の抗弁なんか、聞き届けられないんだろうか? また、拠点は大阪と北海道で、「黒い恋人」の方が侵害機会は多そう。。。。などとつらつら考えた。どうして「黒い恋人」が登録されて「面白い恋人」は拒絶されたのか、いまいちよくわからない。「黒い恋人」はまだ使用されていないようだから問題にならずにいるが、いざ使用されたら、その態様によっては別の判断もありうるってことだろうか?
 吉本興業も、あのお菓子を販売せずに、イベント等でノベルティグッズとして一包単体で配るくらいにしておけば、ホンマ、オモロイなぁ~♪くらいで済んだのだろうに(笑)。
 まだまだ勉強不足で、こういう具体例に当たるとわからないことだらけなため、是非、黒いクリームをサンドした類似品が「黒い恋人」として販売され、それが法的にどういう取扱いを受けるのか、不謹慎にも見てみたいと思ってしまうのだった

※ 11月29日「特許法等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令」が閣議決定され、本年6月に公布された特許法等の一部を改正する法律(平成23年法律第63号)の施行期日が平成24年4月1日に定まった! 今後は改正後の条文で迷いなく進められる。。。

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コメント

商標はもはや、職業人なら誰しも無関心ではいられないネーミングやキャッチコピーの障壁になってますね。あんまり硬直化するのもどうかと思いますが、フリーライドや悪ノリへのブレーキは、やっぱり必要ですかねー。
「白い変人」はちょっと怖いかな~(^^;;

投稿: Taraco | 2011年12月 2日 (金) 07時45分

ついでに、「白い変人」なんてのはどうなるのか、考えてみると面白いかも?
そういえば商標「iQ Platform」の登録が車の「iQ」の登録前に通って良かった、なんてのもありました。

投稿: Y.Mita | 2011年12月 2日 (金) 07時00分

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