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2011年12月17日 (土)

音響や香りの商標?

 青本の商標5条の部分に、「標準文字により商標登録がなされた場合、その商標権の効力の及ぶ範囲は、登録された商標と同一又は類似の範囲であり、通常の商標登録と比較してその範囲の広狭に差異が生じるということはない」とある。これを読んだとき、「えー?ホントかな? どう考えても、標準文字だけよりも、特別の態様を追加したものの方が、書体や色などを限定している分、類似範囲は狭くなるような気がするんだけど…?」と感じた。普通の会社が普通に商標登録出願する場合、標準文字とデザイン化された商標のどちらを選ぶものなのか?

 これと似た疑問を感じたのが、最近話題の音響商標についての記事。アメリカや欧州で、久光製薬が例の「ヒ♪サ♪ミ♪ツ♪」という音階の音響商標を取っているらしき記事を見たが、楽譜に表しただけの音なら、“標準文字”の商標のように汎用性はあるけれど、楽器や音質などの個性を付加した音に比べてインパクトに欠ける。音や匂いの商標を認めている国では、どういう風に権利書が書かれているんだろう…?と、文字商標の類似範囲の疑問と同じ疑問がムクムク。
 現状の「標章」の定義は、「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」だけれど、よりユニバーサルな商標を目指すなら、視覚・触覚だけでなく、聴覚や嗅覚(果ては味覚まで?)も含めてもいいような気もしないでもない。マクドナルドの「タラッタッタッタ~♪」とか「カルビ~♪」とかの音階や、シャネル5゜とかアラミスの香りなど、すでに一般に認知されている音や香りもたぶんあるとは思う。ただどうなんだろう? 視覚から入る情報によって喚起される外観・称呼・観念の幅に比べ、それ以外の感覚器からもたらされる感覚幅は、かなり狭いような気がする。人間の聴覚が蛾やコウモリ並みになって、嗅覚がイヌ並みになれば、選択幅もずいぶん広がるんだろうけれど、現状の鈍感なヒトの狭い感覚幅を取り合ってまで公証された権利を作らなくてもいいんじゃ…とも感じる。そもそも、視覚・色覚の個人差と、聴覚・嗅覚の個人差を比べる必要もありそう…。だいたい審査が滅茶苦茶大変そうだし…
 浮かんでは消える音響商標採用案は、このあたりのせめぎ合いによるものなんだろう。不競法で対応するのが適当な気がする一方、権利化を望む声が確実にあるんだろうとも思え、今後の動向が気になる。

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