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2012年3月29日 (木)

実務家講演会(鮫島正洋先生)

 講演会を聴いている暇があったら机に向かうべきなのだが、スキマ時間にまたしてもWeb視聴。
 今回は、直木賞受賞小説『下町ロケット』の神谷弁護士役のモデルとなった、内田・鮫島法律事務所の鮫島正洋先生。池井戸さんとは飲み友達だったのだそうで、ほんの30分ほどのレクチャーで、小説プロットの一部を完成させたことに感嘆されていた。
 講演のタイトルは、「技術法務の可能性 知財弁護士として考えること」ということだったが、いつのまにやら惹き込まれて聴き入ったプレゼンは、見事にご自身の法律事務所の広告宣伝になっていて、「私がベンチャー企業の責任者だったら、こういう事務所に依頼するなぁ~」と思わされた(笑)。
 「私の履歴書」と題して紹介された先生の略歴も興味深かったけれど、弁理士と弁護士という2つの資格を世の中にどう活かすかという視点で、独自の境地を開拓されている様が素晴らしかった。どちらもサービス業である以上、「どういうサービスをすべきかを考え続ける職業」だと断言されていた。20年くらい前は合格者700人程度だった司法試験も、今や3000人合格時代の上、リーマンショック以降、企業のM&A等が減ったこともあり、相当なジリ貧状態の弁護士業界にあって、4大弁護士事務所なども知財方面へシフトしてきているとか。また、今や弁護士の最大のライバルはインターネットであり、生半可なアドバイスではインターネットに敗けてしまう状況下、実のあるコンサルティングをしつつ社会正義を実現する道を模索しなくてはいけないとも。
 従来の弁護士業務は“後ろ向き”(起きてしまった事態に対処するという意味で)なものが中心だったけれど、今後はむしろ“予防的”“前向き”な法務に携わることで、国力を揚げることにも貢献できるのではないかと話されていた。
 もともとは金属材料工学のエンジニアだった先生は、就職してすぐの24,5歳の頃に人生に迷い、初めて法律を勉強したのだそうだが、法律を勉強することが楽しくて楽しくて仕方なかったそうだ。私は果たして、今の勉強を楽しめているだろうか? 「マーケットは常にひずんでいる」という先生の言葉は、必ずどこかにニッチなニーズというのはあるものだから、「鶏口となるも牛後となるなかれ」の精神で、新しい仕事の形を探して行くべしと教えてくださった。

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コメント

鮫島先生、コメントありがとうございます!
一受験生の拙い感想文に反応していただき痛み入ります。

厳しい時代でも、丁寧に前向きに仕事することの大切さを実感させていただきました。お恥ずかしい限りの勉強への取り組み具合なのですが、いつか誰かのお役に立てる日を夢見ながら、あきらめずに頑張りたいと思います。

投稿: Taraco | 2012年4月26日 (木) 05時49分

私の雑ぱくな講演の内容をうまくまとめていただき感謝感激です!弁理士試験でのご健闘をお祈りします。 鮫島正洋

投稿: 鮫島正洋 | 2012年4月25日 (水) 22時03分

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