クールジャパン構想一考
「クールジャパン構想」なるものが数年前から取り沙汰されている。マンガ・アニメ大好き人間の私としては、気になる話題ではあるものの、産業振興の視点で検討されることにはどうも抵抗を覚える。。。というか、いいアイディアが思いつかない。500億円の税金投入に見合う、どんな成果を期待するのか。。。(そもそも、明確な目的やミッションが決まらぬ前に予算をつけるという手順が、仕方ないとはいえ、無駄遣いを招く温床のような。。。)
思えば、今でこそ先進国の仲間入りをしている日本だが、少し前までは“モノマネ”によって欧米から多くを学んできた。「民主主義」とか「哲学」とか「法体系」とか「自然科学」とか「医学」とか「ビジネス手法」に至るまで、欧米から先取的に学んだ者が啓蒙し、先導してきた面が大きい。でも、手本となった欧米の考え方が、果たして本国の産業振興と結びついていたかというと、ものすごーく間接的にしか関与していない気がするから。
モノマネの歴史を振り返るにつけ、「日本人には、欧米に手本とされるようなオリジナリティとかクリエイティビティはないんだろうか?」と自問する(いや、いい所はたくさんあると思うんだけれど、それが現実に手本とされている図が具体的に想像できない)。東洋的なものも見直されるようになってきてはいても、やっぱり世界は、欧米の再帰的・還元的な考え方に則って普遍化する方向にあるように見える。
そんな中で、日本のマンガ・アニメを観ると、これはもうどう考えても、日本が独自のユニークさをもっている数少ない文化に見えるわけだ。制作手法とかの独自さというよりは、“世界観の構築の仕方や視点”のユニークさとでも言おうか…、日本古来の文化や伝統とも違う、不可思議的に新しい日本的なるもの。。。(ただ、異国の価値観では受け入れがたいような内容のものもあるだろうけれど)
八百万の神から始まって、どんな異質なものも寛容に受容しつつ進化する、なんでもござれの日本的なるもの――これを丁寧に発信することが、“クールジャパン構想”の本領だと思うな~。
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コメント
80%海外消費ですか~?! そういう時代なんですねぇ。国内市場の飽和感とともに、少子高齢化の波も感じます。
海外出張は、用件は産業振興だとしても、直接日本文化に対する海外の感触を探るいい機会ですね!♪ ジャカルタでのマンガ・アニメの需要動向のレポートを是非(笑)!
投稿: Taraco | 2013年5月27日 (月) 09時10分
あっ、本日より1週間、日本製品の輸出に向けてジャカルタへ出張してきます。
最近不定期に欧州や東南アジアに行かされますが、直接輸出でも半分以上、最終製品に至っては80%が海外で消費されていると、あちこち教育・宣伝に行く事になります。
残念ながら、文化ではなく、産業振興の視点ですが...。
投稿: Y.Mita | 2013年5月27日 (月) 06時21分
マンガ・アニメ日本文化論、賛成です。
でも、最近は少し廃れてきた?かもしれないけど、「もったいない」なんてのもありましたね。発信者本人が忘れかけているのが気になるけど...。
投稿: Y.Mita | 2013年5月27日 (月) 06時08分