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2013年9月16日 (月)

「風立ちぬ」

 先週末、ついに「風立ちぬ」を観た。
(以下、まだこれからという方はお預けで。余計な先入観なく鑑賞してほしいです!)

 一個の人間、一つの人生と同様に、いろんな矛盾を抱えた映画だった(悪い意味でなく)。
堀越二郎のことも、堀 辰雄のことも、ユンカース博士のことも、ほとんど知らないままに観に行ってしまったため、私にはまだ過ぎた映画だったかもしれない。ただでさえ濃密な人生を歩んだ人たちの時間を、ギュギュッと凝縮しているため、エピソードの1つ1つを取っても1つの映画に成りうるほどだから、全体を掴みにくく感じる人も多いだろうと思った。
 感想を言い出したら取り留めなくなりそうなので、個人的に印象に残ったことを2つだけ、書き留めておこう。

 1つは、庵野監督の声のファースト・インプレッションと、その後の受容について。その声を耳にした瞬間、パァ~ッと脳裏によみがえったのは、「耳をすませば」で立花隆さんの声を最初に聴いた時の違和感。演技し慣れた声優さんと違い、ひどくぎこちなく、拍子抜けさせられたものだ。でも、ペンと活字の力の象徴のような立花さんの生き様を想ったら、本を心から愛する主人公・雫の父である図書館司書の役は、やっぱり立花さんでなくちゃ!と妙に納得させられたのだった。これと同じ決着が、今回の「風立ちぬ」の庵野さんにも感じられた。ただ美しい飛行機を創造することだけを夢みている主人公・二郎の役は、かの「王立宇宙軍 オネアミスの翼」で、発射されるロケットから剥がれ落ちる氷片の1つ1つに精魂込めてアニメートしてしまう庵野さんのような人こそふさわしい!と――。“部分”に夢中になっているとき、“全体”のことはそっちのけになってしまうのが、人間の良さでもあり悪さでもあるのか…。おそらく、24時間一つのことばかり考え妄想し続けている人たちは、二郎に自分を投影して、素直に共感を覚えたに違いない。
 ジブリ作品には時折こうした、声優さん自身の生き様と、作品中の人物の生き様とをダブらせるような感じがある。「紅の豚」のジーナ役に加藤登紀子さんが起用されたときも、そんな印象をもった(でも加藤さんは違和感なく見事に役をこなされていたけれど(笑))。

 もう1つは、126分という長い映像の中で、私の心に焼き付いたシーンのこと。就職して初めての職場で、二郎が輸入モノの製図台に向かって仕事を始めたシーンを、右斜め後ろから描写した絵が、本当に素晴らしかった! どのシーンも相変わらずの美しさなんだけれど、どういうわけか、あそこの場面に痛く感動した私。「さぁ、設計が始められる♪」という二郎の心の声が聞こえるかのようだった。あそこを担当したアニメーターさんと握手したい気分(笑)!
 このシーンはもう一度、夫と観に行く時にじっくり観察してみよう♪ どうして感動したのか、謎は解けるかな~?

 一昨日、新型ロケット“イプシロン”打ち上げ成功! この陰にも男のロマンあり?! ボイジャー1号が太陽系圏を離脱する時代、“女のロマン”も隠れてるのかな~?

 

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