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2013年10月27日 (日)

『クラウド時代の著作権法』

20131023 本日より読書週間。
 だからというわけでもないが、『クラウド時代の著作権法』という本を読んだ。6人の著者が手分けして、諸外国で取り沙汰されているクラウドをめぐる紛争の数々の概要を紹介してくれるもの。
 前半で取り上げられていた主な紛争は以下。
―― まねきTV事件、ロクラクII事件、Myuta事件、Scarlet事件、Netlog事件、Newzbin2事件、Google Adwords事件、eBay事件、MP3tunes事件 ――
 このうち、欧州の事例の中に、「CJEU(欧州司法裁判所)」という存在がたびたび出てきて興味深かった。三審制というのはどうも、当事者には過負荷な気がしているのだけれど、“CJEUに先決的意見を求める”というのは、この過負荷を和らげる意味合いもあるのかな?と素人的な疑問。
 面白かったのは、中盤のいわゆる「スリーストライクルール」の各国比較。できれば、日本においてYouTubeとかニコ動で日々どれくらいのNotice & Takedownが行われているのかのデータも欲しかった(そんなことは当然のように知っている人が対象読者なのかもしれないが…)。フランスが意外に過激だったり、スペインが意外に良識的な気がしたり、同じ“仏の顔も三度まで”とはいえ、その運用は各国様々で興味深かった。
 侵害行為そのものにも憤慨するけれど、さらに理不尽に感じたのは、侵害警告するのに権利者やISPが手数料を支払わなければならないとか、侵害除去のため、フランスのHADOPIのように億単位の予算が注ぎ込まれるとか、違法コンテンツをアップロードする人がいることで、本来なら使わなくてもいい無駄なお金や時間や労力が世界中で使われていることに憤りを感じる。技術的に、違法コンテンツは一切アップロードできないようにできればいいのになぁ…
 後半では、オープンデータ・オープンガバメントの各国の動向紹介。秘密保護法案のニュースが飛び交う昨今の日本の状況とは対照的。上記同様、各国様々な対応がありながら、どこの国でも「インターネットにアクセスする自由」という人権は最大限尊重されていることが感じられた。
 著作権については、日本だけでなく、どこもここも情報技術とインターネットに引っ掻き回されている印象の読書でありました(10/25読了)。

 
 次の読書は、Kindleで『グーグル、アップルに負けない著作権法』の予定。で、その次は『100万分の1の恋人』や『海賊と呼ばれた男』の予定。あー、読書の秋を満喫できる幸せ…!

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コメント

ほぉほぉ!!
これは貴重な体験談をありがとうございます!!
本書の最終章には、音声と映像の同一性の自動認識の話も書いてありましたが、音声についてはほぼ実用化されているようですね。1時間以内に警告とはそれにしてもスゴイ! 実際にどういうふうに運用されているかの詳細が知りたいですねー!(全自動なのかしら??)

投稿: Taraco | 2013年10月27日 (日) 19時39分

数日前にYouTubeに趣味の回路製作の動画をアップしたら、アップ完了後1時間以内に削除警告が来ました。
そんな馬鹿な、って対象の動画を見直したけど、完全に私の著作物。でも、音を大きくして見直したら、まったく意識せずに雑音だらけで同時に録音されていたBGMのラジオの放送、その中で流れていた曲が自動認識された様子。
思わず、「すげぇ~!」って感動すると同時に「ウザイ!」とも...。
結局動画編集でミュートして再アップロードして元の動画は削除。
アップロードできなくするのは難しいかもしれませんが、アップロードしても公開をしない様にはできそうです。(曲の著作権者がYouTubeに幾ら支払っているかは不明ですが、効果はありそうです。)

投稿: Y.Mita | 2013年10月27日 (日) 11時58分

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