「自炊代行」の是非
先日、「自炊代行」についての地裁判決が報道されていた。作風の好きな作家さんが原告に名を連ねている上、結果も結果なので、非常に複雑な心境。
ここ一年ほどで、電子書籍もずいぶん充実してきたため、今ならば容易に読みたい本の電子書籍の購入も可能なのだろうが、数年前の黎明期に、「自炊」までして本を読もう(あるいは電子書棚を作ろう)とする人は、かなり先進的な人だったんじゃなかろうか? おそらく、超多忙な日常で、重いハードカバー本を持ち歩いて読書する余裕もない中、それでも読みたい本を、電子ブックとして持ち歩き、わずかなスキマ時間でも読もう!という思いで「自炊代行」を依頼した人もいたと思うと、そんな人をサポートする仕事が一律に否定されるのはちょっといたたまれない(何千ページも自分でスキャンするか、読むのを断念するか?)。
純粋な「自炊」は現行法の下でも合法ながら、それを「代行」するのは違法とのこと。どういう事情で代行してもらう必要があったのかとか、処理後のデータや原本の取り扱いとか、個々のケースが多様すぎるため、どうしても厳格な方に傾かざるを得ないのだろうが、、、。まぁ、訴えられた会社も、もっと手続き的に誠実にふるまって、正当性を理解してもらいたいという姿勢を最大限にアピールして仕事を進めておくべきだったんじゃないかとは思う。
もう間もなく、現役本についての「自炊代行」なんていらなくなるとは思いつつ、過去の入手困難な絶版本で著作権は活きているものを所蔵している人にはむしろ、積極的にデータ化を進めて欲しいとも思い、、、。
まぁ、結論は著者さんの考え方優先でいいとして、私としては、この結論以上に、同じ内容の本があちこちで別個にデータ化されていると考えると、その労力や資源の損失がもったいなく感じられてしまうのだが…(汗)。
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