期限管理
先週、米国における特許権取得数に関するランキングが発表されたようで、トップ10入りした日本企業は、3位Canon、4位Sony、6位Panasonic、7位Toshibaだったそうです。数を競うことに実質的な意味はあまりないように思いつつも、業界的には大事なことなんだろうと、トップ10の顔ぶれを眺めました。それと同時に、即座にそのトップ10の取得件数の総和を求めた私…「トップ10だけの“32,413件”の権利に関してだけでも、相当数の期限が発生してるよなぁ…」と茫然としてしまいました(苦笑)。
ここ数週間、えもいわれぬプレッシャーを感じ、その原因は何だろう??とずっと考えていたのですが、どうも、“期限管理”がその原因だと思い当たっていたからです。バイトも含め、かなりいろいろな業種の仕事をしてきた私ですが、特許等に関する期限管理ほどシビアな経験は、未だしたことがなかったかもしれません。お役所に対する手続きであることと、期限を徒過することは、自分自身の損失というより、お客様の損失になるということが要因です。どんなに素晴らしいクレームや明細書を練り込んでも、1つの期限を徒過すれば水の泡。お客様からお金をいただいて、1つの権利を発生させ、それを維持する…要はそれだけのことなのですが、そのスパンは何十年と長く、そこにはいろいろと厳格な期限があるのです。
新卒で公務員として高校教員を始めた頃は、お恥ずかしい話、自分のお給料がどんな仕事に対する対価なのかなんて、考えることはしませんでした。出版社では、原価や売り上げと常ににらめっこだったので、それなりに仕事の成果というものに敏感になりました。そして、どんな仕事にも、あれこれと期限はあるものですが、例えば出版社で本の刊行日を万が一落とすようなことがあっても、自社のダメージになるだけで、読者には少々待っていただけば、なんとか状況は回復できたのです。けれど、知財業界の仕事で期限を落としたらどうなるか…。。。考えるだに恐ろしいですが、もはや状況を取り返す術はなく、お客様に顔向けできません。そんなシビアな何かしらの期限が毎日毎日やってくる。。。ノイローゼになってもおかしくない感じです(まぁ、人の生死を左右するようなプレッシャーに日々さらされている人には笑われてしまいそうですが…)。
また、コンピュータがなかった時代の期限管理って、どうやっていたんだろう?!というのも素朴な疑問です。以前お話しした年配の弁理士さんのお話では、昔は先行技術も紙をペラペラしながら調べたということだったけれど……信じられない~!!
時間に厳格な日本というお国柄に育った私でさえ、これだけのプレッシャーを感じるのに、時間にルーズと言われる国々の知財業界の人たちが、きちんと日々期限を守って仕事していることが、ちょっと想像できません(苦笑)。まぁ、お金を払えば許してもらえる国や、もう少し寛容な救済手段のある国などもあるのかもしれませんが、このプレッシャーとうまく付き合う勘所がわかるには、まだまだ時間がかかりそうです。
(極論ですが、日本の自殺率の高さって、もしかしたら、こういう融通のきかないフレームワークを生む国民性にあるのかも…なんて、ボンヤリと感じてしまいました…)
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