集合研修第4回
二週連続で雪になった週末、第4回目の集合研修を受けてきました。電車はあちこちで徐行運転でしたが、遅れることなく参加できて一安心。
この日はいよいよ、懸案の意匠でしたが、午前の先生は、LECの佐藤先生の講義でたびたびお名前を伺い、一度お話を聴いてみたいと思っていた先生♪ 午後は、JIDA(Japan Industorial Designers Association)でもご活躍だという審査官のご経験もある先生でした。
それにしても、意匠の類否判断というのは難しい。私には正直さっぱりわかりません。WindowsのGUI はMacのGUI に酷似すると思っていたような者には(しつこい)、画期的飛躍的なコンセプトしか評価する気になれず、研修課題だった置時計にせよ、携帯電話にせよ、「そんな些細な違いで非侵害になったり、登録になったりしちゃうのぉ?!」と忸怩たる想いにとらわれてしまいました(汗)。
午後の部の意見書の課題で再提出になったのも、当然の結果。意見書で、審査官の拒絶心証を翻意してもらわなければならないのに、先行公知意匠と引用意匠から考えて、本願意匠に大した斬新さを感じ得ず、拒絶が妥当と思ってしまい、初心者だというのに何の資料も参照せずに、ずいぶん投げやりな意見書を書いてしまっていたからです。
講義を受けて、書き方の流儀はわかったものの、自分で納得していない差異点を根拠に意見書を書かなければならない苦痛は変わらないまま(苦笑)。それにしても、あんなにわずかな差異点だけで登録されるのでは、最初に折り畳み携帯電話を作り出し、それをデザインして製品化した革新的な人たちは、泣くに泣けない気がします(少なくとも、私が当事者だったら、意匠権でなく、別の権利で優位性を確保しようと考えざるを得ません…)。
まぁ、侵害者の立場になって、いかに狡猾に真似するか、と考えるのも別の意味でおもしろかったので、置かれた立場により、物の見方も主張もどうにでも変えられる様相は強いようです。特許でもそういう面はあるでしょうが、少なくとも科学的・論理的な論破が可能なケースもあるのに対し、意匠は本当に感性次第。。。私のような大味人間には、些細な差異は誤差のうち…なんですが…(でも、製品化という過程で、特許の延長線上で究極に磨き上げられたものが意匠じゃないかと思っているので、斬新な意匠の重要性に異存はありません)。
午前の先生が、イタリアの芸術家&デザイナーのブルーノ・ムナーリの言葉を引用されていました。
――芸術家は美術館を目指す、デザイナーはスーパーマーケットを目指す――
彼の、『芸術家とデザイナー』という本が出典のようです。同一人なのに、芸術家とデザイナーを使い分けているところがミソだと思います。私は、芸術家も好きだけれど、デザイナーはもっと好きです。本当に優れたデザインは、必ず誰かを幸せにすることを動機に生み出されていると思うからです(芸術も人を幸せにするけれど、ムラが大きいですよね)。だから、差異点の考え方も、それが芸術的な差異なのか、デザイン的な差異なのかを判断要素にすべきではないかという気がしてしまいます。単に表情を変えだだけの差異点は、意匠権でなく著作権で保護すべきなんじゃないかしらん??(私が考える理想の意匠権は、慣例よりずっとずっと特許権寄りなのかな?)
いずれにせよ、デザインのコンセプトの方に関心の強い私は、もっともっと具体的・近視眼的に、対象同士を微細に観察する訓練をしないと、意匠の仕事はできそうにないです(苦笑)。。。
【参考】「デザイン思考家が知っておくべき39のメソッド」
IDEO
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コメント
元受験生さま
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、きちんと様式を調べて書くべきでしたね(苦笑)。それにしても、先生も意匠登録出願の少なさについて触れておられましたが、重要さを痛感するからこそ、もっと利用者が利用したくなる運用を工夫しなければ、せっかくの意匠登録制度がもったいない気がします。多くの意匠権を持っている企業を調べて、役立っているのか否か、インタビューしたい衝動に駆られます(笑)。
また、スマホの話中テンキー表示の件も、ありがとうございます。今度試してみます!!
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: Taraco | 2014年2月17日 (月) 19時48分
修習おつかれさまです。
意匠の意見書は,ネットで見られる「意匠審決データベース」で,事案と同じ拒絶理由の査定不服審判などを検索して参照し,
1.基本的構成要件における共通点,
2.(1)本願意匠の具体的構成要件(2)引用商標の具体的構成要件,
3.類否判断(共通点は公知意匠にも見られる一方,差異点は前記2(1)及び(2)の通りで,これらが相俟って,前記共通点を凌駕する。よって非類似。)
4.まとめ 何卒~
という感じでまとめ,なんとかOKでした。
しかし,私も両者の差異点を抽出し,類否判断をしているときは,大した差異点ではないなと思いながら書いていました(笑)。代理人弁理士として自分の氏名を書いた意見書である以上,仕事と割り切るしかないでしょうか。
また,講師が起案合格者による意匠の提案例を紹介したのですが,私は「関連意匠」として提案したにも拘わらず,「別出願」の意匠の例として紹介されました(苦笑)。なかなか難しいですね。次回の商標も頑張りましょう。
別記事で恐縮ですが,スマホのダイヤル操作は,通話時にスマホを耳に付けているときは画面が暗くなるものの,画面を耳から離せば明るくなり,「ダイヤルキー」選択ボタンが表示されますので,それを押せばいいと思います。表示されないときは,通話中にメニューボタンを押してみて下さい。ご参考まで。
投稿: 元受験生 | 2014年2月17日 (月) 18時10分