集合研修第5回
先日、集合研修の最終回第5回を受講してきました。5回目の商標の先生は、午前・午後とも、商標専門で長年お仕事をされてきた女性の先生でした。両先生ともに、地に足の付いた現実的なバイタリティに溢れ、経験に裏打ちされた自信に満ちた素敵な先生方でした。 特許・意匠に比べ、概念的な内容よりも、実務の細かな留意点について丁寧に講義してくださった印象なので、以下、備忘録として箇条書き。
(AM)
・ 商標専門の弁理士は、全体の10~20%ほど(だったかな?)
・ 自信がない意見書の最後には「類似と判断される場合は電話等でご一報ください」の添え書きを
・ 審査期間は特許庁のHPで公開されているが、審査状況確認書を出すこともできる
・ 称呼での判断が最も多い
・ 調査報告では「仮」の話はしないのがベター
・ 商標登録願での商標の誤記は致命的!
・ アメリカの“standard character”と“標準文字”はnot equal
・ 標準文字となるJIS規格の文字は、WindowsOSによりサポート範囲が異なるので注意(辻、神など)
・ 【指定商品】が複数のときは、「、」でなく「,」で区切る
・ 4音中2音相違は、データ検索では出て来ない可能性あり
・ 「第何類」の記載は昇順で
・ 類似群コードの記載は7つまで(/区分)。8つ以上だと商標の使用又は使用の意思確認
・ 中国では、薬剤の小売以外の小売役務は出願できない
・ 中国は簡体字で(漢字の場合注意)、拒理通なくいきなり拒絶査定、応答期間も15日と短いので注意
・ アメリカ出願では、出願の基礎を、使用意思、現実使用、又は本国登録等のいずれにするか決定する必要あり
・ 在外代理人を通してCTM(欧州共同体商標)出願も可
・ マドプロ出願はいまだ紙媒体のみ
・ WIPOページにFee Calculatorあり
(PM)
・ 今後導入予定の「位置」「色彩」の商標に留意
・ 認知度に与える色彩の効果は70条あれども影響大(私も大賛同!)
・ ディベート・ディスカッション能力が重要
・ 日本商標協会に、判決研究部会・審決研究部会がある
・ disclaim(権利不要求)制度が日本にはないため、権利範囲が不明確になることがある
・ 形状に自由度のあるものの立体商標は認めるべきでは?という見解あり
・ 登録/非登録の境界はビミョー
・ 「TM」表示は登録前でも「我が社はこれを商標として使っています」との趣旨
・ 安易に3条2項の適用を求めるより、「識別力あり」の主張で粘る方がハードルを上げずに済む場合が多い
・ 特許庁の見解と、裁判所の見解とは、異なる場合があるため注意
・ 音声学上の検証より、取引実情の勘案が重要だと思う
・ 併存例を示しても、審査では考慮されないこともあるが、調べておくことは重要
・ 特許庁で類似判断されたことが、即侵害となるわけではないことを念頭におくこと
・ 牧野判事の判決以降、称呼絶対視主義が崩れた?!
・ 資料を参照して意見書を書くより、独自の見解を自分の頭で考えて述べることが大切
・ 称呼検索の際、逆順が出ない場合があるので注意(漢字の入れ替えは特に注意)
1つの商標の称呼を、挙げられるだけ挙げてみたり、班ごとに、具体事例について「類似」「非類似」主張の立場を替えて発表したりしたのが面白かったです。先生がポロリとおっしゃっていた「類似/非類似の境界はビミョー」という言葉が如実に表すように、商標の仕事には、「論理性」もさることながら、「慎重さと粘り」「情報量」「タイミング」「押しの強さ」みたいなものが必要だなぁ~と感じました。
これでついに、実務修習も終了! 専門分野や名前の順のご縁で数名の方と名刺交換して知り合いになれたのは大きな収穫でした。皆さん頼りにさせていただきます(笑)。また、そのご縁をきっかけにランチを3度ほどご一緒して、「今後も情報交換しながら一緒にがんばろー」と言い合える友人ができたのが嬉しかったです。さてさて、今後しばらくは、実務どっぷりでの研鑽に移行します(キビシソー!)。
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