精神拒絶週報#17
なにごとか?!というタイトルで失礼します(苦笑)。
精神拒絶とは、商標法において、同一出願人が、同一の商標について同一の商品(役務)を指定して重複して出願したときに通知される「商標法制定の趣旨に反する」という拒絶理由に基づいてされる拒絶のことです。いかにも精神的ダメージの大きい、拒絶感たっぷりの名称ですが、要するに“法の精神に反する”的なニュアンスでしょうか。。。
今週は、これに悩まされました。外国において、事業展開上の都合で先後して出願せざるをえない状況にあるお客様からのご相談。受験生時代に、上記の言葉も状況も習ってはいたものの、“同一”商品の“同一”は、“完全同一”としてしか捉えず、現実の事業と絡めて考えたり、海外の状況にも思いを馳せたりすることはありませんでした。
まぁ、いろいろいろいろと悩んだあげく、必要最小限で質問にお答えする形となりましたが、参考にさせていただいた2012年の『パテント』の特集には考えさせられました。30か国強の調査対象国において、完全同一による精神拒絶を適用する国は少数派だったからです。多数派の国々の規定ぶりに興味が湧くとともに、「長らく法解釈だけで乗り切ってきた」という事実が、最近の憲法改正論議とダブって見え、難しい問題に白黒つけず、あやふやなまま先送りしている弊害があちこちにある気がして仕方ありませんでした。
一物一権主義というのが、何を根拠に絶対視されるのかにも悩みつつ、コンピュータ管理が可能となった今なら、樹系図のような形で権利範囲が時系列に沿って変化するような形式も取りうるんじゃなかろうか…とか、そんな柔軟な権利にしないと、流動的な事業に対応できないんじゃあるまいか…と、思えてしまいました(全電源喪失したら大惨事…?)。
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