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2014年5月20日 (火)

「舟を編む」

 土曜の午後、映画「舟を編む」をレンタルDVDで観ました(「そして父になる」を借りに行ったら、なかったため、次点の本作にしました…苦笑)。
 夫が原作本を買っていたので、いつか読もうと思っているうちに、先にDVDを借りてしまった次第(汗)。
 何度も見ていた映画の予告編は、コメディタッチな印象だったのですが、実際は、余白の多い、なんともしっとりとした作品でした。言語学を修めた不器用で真面目な“馬締”君が、辞書編集部に配属になってから、辞書が完成するまでの道のりを描いています。
 私自身が、辞典の改訂版の仕事に携わった経験を持つため、特別な感覚で観たような気がします(とはいえ、一般の言葉でなく、「物理学辞典」ですが…)。改訂版でさえ、普通の書籍に比べて相当大変だったのだから、一般の言葉の、しかもゼロからの編纂の大変さは、想像に難くありません。本作の『大渡海』は、結局15年の歳月をかけて編まれました。その間の馬締君は、仕事や人間関係に悩み、恋をし、仕事に燃え、結婚し、重責を担い、お世話になった恩人を亡くし…と、人生の大切な季節を越えてゆきます。思いのほか地味でしたが、実直に生きる馬締君の姿には好感がもてました。
 個人的には、仮面ライダー“クウガ”で好きになったオダギリジョーさんが、その後あまり好感の持てる配役に当たっていなかったところ、この映画での馬締君の先輩役が久々に良かったのでホッとしました(笑)。
 「辞書に誤植や間違いがあったらどう思う?」
 「その辞書を信頼できなくなる…」
というやりとりは、編集者が最も恐れるもの。誤植を見ない本の方が少ない気がする昨今、信頼というものが軽んじられてはいないかと、ちょっぴり考えさせられました。

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