« お悔やみ申し上げます | トップページ | 薬って一体… »

2015年11月17日 (火)

『下町ロケット2』

 一昨日の晩のドラマ「下町ロケット」の前編佳境を前に、『下町ロケット2』を読み終えました。ゆっくり味わうつもりでしたが、面白すぎて、つい一気読み(笑)。
 一巻目の『下町ロケット』のとき、私の唯一の不満は、佃製作所社長の佃さんの言葉遣いが悪すぎる印象だったことなのですが、ドラマでそれを阿部寛さんが演じるのを観た後では、まったく気にならなくなり、二巻目は、何の違和感もなく読み進められました。
 以下、『2』の感想は、ネタばれもあるかもしれないので、未読の方はご注意を!

 “ものづくり”と製造業の現場を垣間見る、教科書的な一冊だったと感じます。“教科書的”というのは、四角四面のつまらなさを言うのでなく、網羅的にいろんな要素が、すごくよく吟味されて配置されているという意味。経営とか交渉とか資金繰りとか情報流出とか危機管理とか人脈作り等の一般的なことのほか、発明の水平展開とか、民事訴訟における“錯誤”の主張等、クスリとさせられる話題も満載! 昨今世間を騒がせた、STAP・タカタ・東芝・フォルクスワーゲン・旭化成建材等々の騒動に関心ある方々にも是非読んでいただきたい一冊でもあります。
 なんとなく当初は、中小企業の応援歌のような印象で読んでいましたが、読後感は、大企業だの中小企業だのという組織の規模とか、製造業とか医療業とかいう業種の垣根を超え、一人の人間が、どう自分自身の仕事に向き合うか、という、すごくシンプルな命題を提示されたような気がしています。
 個人的に、製造業の機械系まわりの特許はやはり、男性メインに回る世界なのかな…というのが、最近の一つの悩みというか、達観というか、自分の仕事について考えさせられるポイントではあるのですが、『2』では、加納アキちゃんという女性技術者と、咲間倫子というフリーの女性ジャーナリストが、数少ない女性登場人物として活躍します。彼女らの深い心のうちは、池井戸さんの書きぶりからは直接察することはできませんが、その仕事ぶりはとても清々しいものでした。一方、多くの男性たちが、組織の中で懊悩する描写の数々には、「女たちもいろいろ大変だけど、男たちもいろいろ大変だな」と思わされます(苦笑)。
 一巻のときと同様、この人たち、好きなだけ残業とか徹夜とかできて、うらやましいなぁ~と思いつつ、組織から課せられる責任の重圧と、仕事を愉しむ感覚のバランスの難しさも切実。ビジネスマンなら誰しも、共感したり反発したり、何かしら自分事として感情移入せざるをえない幅広いテーマを秘めた佳品です!
 テレビドラマで、もう一度この世界を堪能できるかと思うと、楽しみです♪
 スタッフ・キャストの皆さん、応援しています~!!

|

« お悔やみ申し上げます | トップページ | 薬って一体… »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« お悔やみ申し上げます | トップページ | 薬って一体… »