Patent 2015.12
『Patent』の12月号で、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R)におけるキャラクターライセンス契約の実務」という記事を拝読しました。すごく面白く、参考にさせていただきたいメッセージがたくさんありました。
“単に法律や契約の知識だけではなく、テーマパークビジネスの中身を想像して、どんな権利があったらゲストにとって面白いことができるかを考えて交渉しなければなりません。”とか、“ライセンシーとしてはライセンサーと対等な立場でビジネスを行うことによって、よりライセンサーから一目置かれ、尊重されるようになる”とか、“アメリカは契約社会とよく言われますが、実際は単に文字の契約ではなく信頼関係でビジネスが動きます”等々、実務での経験に基づいた含蓄あるお言葉が、説得力を高めていた感じです。
また、商標調査の話や、商標登録後にライセンサーへ譲渡する話、商標登録の履歴を見るとパークの歴史が見えるという話、支分権ごとでなくライセンサーとライセンシーの契約上の取り決めでライセンスが行われる話等も、なるほどなるほどと思えました。
あと、長らく愛読させていただいた『コピーライトラウンジ』が、第14回をもって最終回となっていてちょっと残念。
同封の『Patent Attorney vol.80』には、アニメの特許発明(米国特許1143542号、1915年登録)が紹介されており、その図面に驚きました。日本のセルアニメだと、水平に絵を重ねて上部にカメラを配置して奥行を出すものが主流だと思っていましたが、その図面は垂直に絵を立てて重ねていたからです。日本でも似たような特許はあるのかな?と思い、「天然色活動写真株式会社」・「日活」・「東映動画」の出願人名で調べてみましたが、いずれも0件(笑)。アニメ業界のセルと、出版業界の活字は、いずれも私が仕事をし始めた頃に消滅しかかっていたことを想うと、懐かしいですが、最近は、活字で作るのをウリにしている名刺印刷もあるようですね。とはいえ、セルで作ったことをウリにするアニメは、現れないだろうなぁ…(苦笑)。
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