『デジタル時代の著作権』
先の土曜日、本屋さんで偶然手に取って出逢った『デジタル時代の著作権』を読了。著者の野口先生は有名人ですが、ご著書を拝読するのは初めて! なんと、中山先生とレッシグ先生のお弟子さんだったのですね!!
そもそも私が法律を勉強してみようと思ったきっかけは、レッシグ先生の本に触発されてのことのようなものなので、僥倖の極み!!!
『コモンズ』、『CODE ver2.0』、『<反>知的独占』、『REMIX』という読書の流れ上、出逢うべくして出逢ったのかもしれませんが―――。これらの本の流れに、日本の状況も加味し、平易な言葉でまとめあげてくださったかのような本書のわかりやすさに感動しました。現状の著作権法への問題提起に溢れ、行動して動かすことこそ大事だと思わせてくださる本でした。ネット情報からは、野口先生ご自身、法律事務所からGoogle法務へ移籍されたらしく、変化を起こせる可能性の真っただ中に身を投じていらっしゃるのかも?!とドキドキしてしまいました。
そんな中、夫からこんな質問が。。。「ResearchGateっていう科学系SNSから、論文をアップロードしないかってやたらとメールが来るんだけど、科学雑誌の著作権が各誌マチマチみたいで、全部アップしていいものか悩むんだけど、判別できる?」―――お~、これはまさに、本書にもあった「サイエンス・コモンズ」でなされた問題提起そのものでは?!
ResearchGateは、2008年に設立されたそうで、ビル・ゲイツ氏も出資している研究者向けSNS。実験データや、論文のpre-print、post-printから掲載論文まで、幅広いデータをアップできるようなのですが、掲載誌との著作権契約に基づいて、研究者自らの責任でアップする必要があるらしく、その契約条件が各誌マチマチなので確認が面倒なようなのです。また、ResearchGateの他にも、pre-printサーバの先駆けのairXivとか、ジャーナル掲載論文を集めるSCOAP3 など、夫の研究分野だけでもいろいろな取り組みがあるらしく、それらの相互関係もわかりづらい…。私などにはまったくお手上げ状態の質問でした。
「プロなんでしょ? しっかりしてよ」と罵られ、返す言葉もありませんでした。。。「著作権は難しいんだよぉ~、これにスラスラ答えられる人の方が少ないよぉ~」と辛うじて言い訳しつつ、錯綜とした著作物の生態系を目の当たりにしたようで、さながらジャングルに迷い込んだかのような眩暈―――。まだまだ、プロとしての自覚も勉強も足りないようで、情けないです。
ボランティアで、科学系雑誌各誌のCopyright Transfer Agreementを訳したページでも作るか?!と一瞬思いましたが、目の前の仕事を充実させるのが先か…と、立ち止まり。文句を言うばかりでなく、改善に向けた行動を起こしたい!とは思うものの、なかなか難しいのが現実です(泣)。
本書脱稿時、野口先生は妊娠中だったようなので、その頃お腹にいた赤ちゃんも今や小学生になろうかという頃合い。お子さんのすることが、いちいち著作権違反になりそうで、ハラハラしておられるんじゃないかと想像したりして、余韻に浸りました(笑)。ものすごい力作を、ありがとうございました!
(さてさて、積みっぱなしの中山先生の『著作権法 第二版』に、そろそろ着手致しましょうか~?!)
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