天野先生講演会
先週末、息子の学校で行われた、心臓外科医・天野篤先生の講演会を聴いてきました。
事前にご著書も拝読していたので、飾らない気さくなお人柄であろうことは想像していましたが、天皇陛下の執刀という輝かしい功績を積んだ後であっても、まったく気取ったところのない、ざっくばらんなお話しぶりでした。遠い演壇に立つ先生からは、とにかく地に足を付けて走り続けている、現場主義の棟梁のようなオーラを感じました。
結構、下世話な話題も臆さず語られ、高尚なお話を期待していた人は驚かれた部分もあるかもしれませんが、こうした腹を割ったコミュニケーションが、先生の強みなのではないかと感じました。講演後に生徒が、「医学部で女の子と知り合う機会はどのくらいありますか?」と質問したところ(笑)、「昔は1割くらいしか女性がいなかったけれど、今は4割くらいいるので、とにかくどんどん声をかけて口説いていくべし!」というニュアンスのお答えをされました。そして、そういう姿勢が、患者さんとの付き合い方にも活きてくる、とも。他人にはなかなか話せないようなことも、この先生になら話せる、という関係性を築くのが大事、とのことで、なるほどと思わされました。相手に腹を割ってもらうには、自分も腹を割ってさらけださないと、きれいごとだけではなかなか打ち解けられないのも事実。お話しを聞いているうちに、なんだか、昔なじみの友達のような気がしてくるから不思議。
天皇陛下の執刀が決まって、陛下とお話しになったとき、最初に陛下が先生に掛けられたのが、
「他の患者さんにご迷惑をかけていませんか?」
という言葉だったのだとか。幸い天野先生は、急きょオペを入れたものの、他の患者さんのオペには影響なく調整できたので、その旨お答えしたそうです。真っ先にそういうご心配をされる天皇陛下のお人柄を讃えておられたのも印象的。
約1時間半ほどの間に、先生のこれまでの歩みをフランクにご紹介くださったわけですが、若いうちは“欲”があっていいとのこと。うんと欲張って背伸びして得たものを、ある時期からはコントリビューションに回せばいいのだと。また、心臓外科医の醍醐味は、元気のなかった患者さんが、すっかり復調して退院するのを見ることができることだとのこと。確かに、長期療養が必要だったり、緩和するしかない病気と付き合うより、白黒ハッキリする分野なのかもしれません。ただ、人の生死と真正面から向き合わざるをえないプレッシャーは生半可ではないと想像され、手術中の動画にはクラクラしてしまいました。先生は、この心臓と向き合う手術中のことを、「“神様と対話しているかのよう”でしょ?」と喩えておられました。
とにかく患者さんFirstでお仕事されている様子がひしひしと伝わり、学者先生といった雰囲気より、現場の問題解決に奔走する職人のような、熱意の塊のようでした。息子もこの講演会を聴いていましたが、果たして、どんな感想をもったのか、、、?
お忙しい先生ですが、翌日は母校の高校の同窓会で、TBSのNスタMCの堀尾さんと二人で講演を行うとおっしゃっていました。お二人とも学生時代は相当遊んだクチのようですが、天職のような仕事に巡り合って今は大活躍の充実した日々―――。息子が勉強しなくても、あまり気にせず大きな気持ちで構えていよう…と思わせていただきました(苦笑)。ご多忙の中、本当にありがとうございました。
【神々の山嶺】 雑学王の天野先生、映画「神々の山嶺」のロードショーに先駆け、著者の夢枕獏さんとスペシャル対談もなさった模様。原作は私のお気に入りの中の一冊なので、いずれは映画も観たいと思っています♪
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