先日、YouTubeにアップされていた、「アーカイブサミット 2016」の特別企画シンポジウム“著作権消滅。 ―社会資本としてのパブリックドメイン ―”を視聴しました。参加できなかった者として、逸した機会を後日与えてもらえるという恩恵に浴するだけでも、アーカイブのありがたさを実感します(笑)。
この動画、文化の継承とか、公的資金成果の公開とか、地域間格差等に関心のある方には、是非観ていただきたいです!! 1時間42分27秒あれば見終えることができますので、是非是非! 以下、備忘録。
司会:吉見 俊哉氏
1.青空文庫 大久保 ゆう氏
2.弁護士 野口 祐子氏
3.劇作家 平田 オリザ氏
◆司会:知の自由(≠無料)な共有財産化について前置き
(2016年は、谷崎潤一郎、江戸川乱歩、高見順 氏らの作品がPD化)
・構造的PD:自然法則や遺伝情報など、そもそもの共有財産
・条件付きPD:期限切れの著作物
・契約に基づくPD:クリエイティブコモンズCC0等
・個別的PD:フェアユース、制限規定等
◆1.文学のPDの活用事例
・青空文庫:1997年創設、13,000作の電子テキスト、ボランティア運営
・自由にコピー&翻案できるOPEN AIR SHELF
・UN-GO、文豪ストレイドッグス(BONESさんアニメばっかり…笑)
・不思議の国のアリス、赤毛連盟、星の王子様、三文オペラ
・Project Gutenberg(AU、CA)
◆2.データのPDの活用事例
・US:農業関連データを使った保険システム→Monsantoが930億円で買収
・US:労働省が全ての公的資金成果をCC-BYに
・NZ:トラックの交通量と経済指標の比例関係を投資に活用
・EU:公的資金利用研究の論文・データのオープン化模索
・PL:小中学校の教科書を無料公開
・JP:大崎西口商店街マスコット、大崎一番太郎くんのイラストをCC0で公開
(↑年に1度訪問しているけれど、未だ目撃していないなぁ…?)
◆3.文化資本が人生を決定する時代へ…
・ミームの継承で文化が成立(ex. 馳大臣の奥さん:高見恭子さんは高見順氏の娘、福井先生の娘さんは平田氏の元で演劇を)
・福島を題材にしたオペラをドイツの国立劇場で制作(再来年から世界ツアー)
↑世界の公共財を作るのが、ドイツ国立劇場の使命
・文化による社会包摂
・EUのホームレス・プロジェクト(EUでは当然の取り組み)
↑アゴラ劇場ではホームレス割引あり
・JPでは文化へのアクセス権が保証されていない(憲法には謳われているものの)
・文化・経済の地域間格差が広がっている
・公的デジタル・アーカイブの実現で、格差縮小が期待できる
・新国立劇場は国民の税金で作られながら、首都圏の人しか恩恵を享受できない
・日本人は、公的資金成果のオープン化に無頓着すぎる
・TPPで保護期間延長になったら、ユニセフにでも寄付すれば?
・国立大で大学院までいくと、一人の学生にかなりの税金が注ぎ込まれるのに、
それを自覚させる教育がされていない
・地方創生のカギは文化:若い夫婦が地方を選ぶ条件は文化(AEONで恋は生まれない…笑)
◆会場Q:保存・オープン・利用のための保守費用・権利者説得・モチベーション?
・大学関係者:データの保守費用が問題では?
・アニメ制作会社アーカイブ担当者:権利者へどうアプローチすれば?(IGではそんな取り組みが?!♪)
・出版関係者:保存・オープン化・利用をまとめると、権利者反発が強いのでは?
・公文書関係者:本来国民の共有財産にも関わらず、政府はオープン化の意思が薄い
・図書館関係者:公共性とリスポンシビリティ(職場規則順守)の折り合いの付け方は?
巷では、都知事の公私混同問題で、原因の根本があやふやなままの決着となりそうな中、“公的資金の使われ方と成果公開”について、非常に考えさせられました。特に、国立大学への税金投入や、国立の文化施設の都市集中について。私自身が私立大の学部卒で田舎出身者なので、相当ヒガミが入っているとは思いますが(苦笑)、税金が平等に公正に使われることをきちんと担保できるような仕組みの検討が、必要に思えます。
【裁判の公開】 今朝の「新・週刊フジテレビ批評」で、裁判の公開に関し、法廷画家の仕事が取り上げられていました。マスコミへの撮影・録音の規制はともかくとして、裁判所独自に、すべての裁判の模様を動画で.アーカイブしていたりはしないのでしょうか?
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