『パテント』2016.7
今月の『パテント』の特集は、「知財教育」についてでした。
今回の記事中に、「こたえのない学校」というのが紹介されており、面白く拝読しました。オーガナイザーの藤原さとさんの問題意識に共感するところも多かったです。私もまさに、息子には、「こたえのない問題を見つけ、それに立ち向かえる力」こそ、身に付けて欲しいなぁ…と思っています。こんな学校で行う知財教育って、どんなのがいいんだろ?と考えつつ、「大事なのはやっぱり、何かを実現するために模索する訓練かな~?」と感じました。
今、『随想録』という本を読んでいますが、その中に、「牛車と翼」という一節があり、ある新聞記者が遭遇した議論が紹介されていました。
あるホテルの応接室で、甲と乙という2人の客が議論している。甲は、徹底的な理想論に基づいて。乙は、現実に即して。甲の議論は急進主義で、乙の議論は漸進主義。甲の議論は勇ましく、乙の議論は精彩はない。
熱心に議論を闘わせていたけれど、ついに乙が、「君の議論は未だ発明されていないのだ」と言い出した。
甲は、「それは一体どういう意味だ?」と反問。それに対して乙が言った。牛車の時代は、「ああ、鳥のように空が飛べたらなぁ…」と思い、天女とか天馬などを思い描いて理想の片鱗を模ってみるが、それはまだ、飛行機が発明されていない時のこと。人間の考えは自由だ。けれど、考えたことが直ぐ実行できると思うのは、未だ飛行機の完成をまたずに、空を飛ぼうとするようなものだ、と。
これを読んだとき、私はまだ、空を飛ぶということについて、自分なりの模索はしてないな~、と思いました。実際に飛行機に乗って空は飛ぶけれど、自分では何も試行錯誤してない。。。小さい頃は確かに、「傘をさして塀の上から飛び降りる」とか、「カーテンを広げてこの窓から飛び降りたら…」なんて夢想したりはしましたが、実現させようという模索はほぼしていないに等しいから(「魔女の宅急便」のコポリくらい入れ込んだ経験があればなぁ~)。
知財教育では、この“模索”を、少しでも多く経験する機会を与えられたら成功なんじゃないかと思いました。“自由な考え”を、“現実化する”こと――、それはきっと、理想を模ったモノとは別種の、たくましさがあるように感じますね~♪
| 固定リンク
「学問・資格」カテゴリの記事
- 権利の域外適用(2023.06.07)
- 生成系AIの著作権問題(2023.04.27)
- 本格VTRと、まさか?!の後ろ姿(2023.04.13)
- 恩師 最終講義(2023.03.15)
- 他人の氏名等を含む商標の商標登録について(2023.03.03)
コメント