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2016年10月20日 (木)

NHK「マネー・ワールド」

 国際航空宇宙展2016を覗いてきた翌晩、NHKスペシャルで「マネー・ワールド」という番組の第1集を放送していました。ノーベル経済学賞が、「不完備契約理論」の功績に与えられた週末でもあり。
 ピケティ教授の言説に関心が集まるここ数年や、第一次産業回帰で地産地消の自己コントロール力回復を模索する人の増加など、行き過ぎた資本主義とグローバリゼーションの矯正が模索される昨今、本番組を観た人は多かったのではないかな~?と想像しています。
 番組冒頭では、最近の経済成長率の頭打ち感が、“フロンティアの喪失”という言葉で説明されていました。地上の覇権を争って拡大してきた勢力が、今やサイバー空間と宇宙空間にまで手を広げている一方、“シェアリング・エコノミー”という新サービス(Uber,airbnb等)の形態で、便利さの享受の仕組みや枠組みを変える動きもあるようで。ただ、いずれの動きも結局のところ、“弱肉強食”の“見えざる手”に翻弄される構図であるところは変わりないように思えます。番組第1集の「世界の成長は続くのか」という問いかけに対し、「2位じゃダメなんですか?」の質問にも似た、「成長しなきゃダメなんですか?」と応えたくなった私でした。ヒトのサガとしての、「目指すならより高みを」という気持ちも充分理解しつつ、ヒトという地上の一生物の身体的サイズの限界と、寿命という時間的スケールの限界を考えれば、富の蓄積とか便利さの追求には、自ずと限界があって然るべきであって、法人とか家系とか、そういう限界を超えるかに思える一個人を超越した存在には、恣意的に限界を設けるべきじゃないかと思えます。
 本番組の第2集第3集が、どういう方向へ世論を導こうとしているのかはまだわかりません。収まりどころとしては、富裕層に7~8割の課税をする日本型のような、資本主義と社会主義の中庸を目指すべき…というところかなぁ~?と感じますが、中庸ばかりだと、強烈なビジョンに基づいたアグレッシヴな施策は進めづらいのも考えどころ。それでも、“強欲”と“分かち合い”のバランス点が、昨今はあまりにも“強欲”に振れた不均衡状態にあるように思え、声なき声をどれくらいまとめられるかが課題のような気がします。
 経済を牽引すると言われるイノベーションが、純粋な知的好奇心としての科学と無縁では成り立たないように、その逆も然りと考えると、研究者も経済に無関心ではいられそうになく。。。どんな善意や良心に基づいた活動でも、別の局面では諸刃の剣になる可能性はあるわけで、教育も含めた、“ヒトの精神のPDCAサイクル”を、絶えず回し続ける必要があるのでしょうねぇ。。。(涙)。

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