「終わらない人 宮崎駿」
先の日曜日、NHKドキュメンタリー「終わらない人 宮崎駿」を観ました。
引退宣言された後、どうされているのか気になっていましたが、ちょっぴり寂しそうながら、お元気そうでまずは一安心。ジブリ美術館向けの毛虫の短編アニメーションの制作模様が前半部でしたが、後半で、ドワンゴの川上会長が突如登場してビックリ! 以前、著作権関係の研究会での氏の発言を聴いた際、「なんて論理的に説得力をもって話す人なんだろう…」と、感嘆した記憶があったので、どんな展開になるのか、固唾を飲んで見守りました。ドワンゴさんも、2014年に人工知能研究所を設立し、目下いろいろ研究中のようですが、その中で、AI を駆使してコンピュータにアニメーションを作らせようという実験をしているらしく、その途中経過を宮崎さんの前でプレゼンしたのでした。。。
が、宮崎さんは、ゾンビのように動く得体の知れない物体の動きを見て一喝。「極めて何か、生命に対する侮辱を感じます」――
あーあ、、、NHKさんも、なんて罪作りな編集をするのか。。。せっかく、才能の塊同士が邂逅したのに、あんな尻切れトンボな映像だけ見せられては、フラストレーションが溜まったままです(苦笑)。あのあと、ドワンゴの人たちが、「すみませんでした、身近に身体の不自由な方がいなくて、そこまで思い至らず…云々」と和解して、お互い何か新しいインスピレーションを得たのか、はたまた、「年寄りに、AI の潜在力なんてわからんらしい…」と、双方不愉快なまま物別れに終わったのか…。
まぁ、いつぞやのアニメーターさん同様、この放送を許可したということは、川上氏がピエロ役を買って出て、大人な対応をしたのだと思うので、物別れに終わっても、双方得るところはあったのかも…(汗)。
確かにゾンビばやりではありますが、もうちょっとこう、宮崎さんの嗜好を分析した上でプレゼンすればよかったのになぁ…。昨今、“分断の時代”なんて言われますが、国家間やコミュニティ間のみならず、専門性のタコツボ化による自分フィールド外への無理解という意味では、とっくの昔から分断は加速しているのかもしれません。宮崎さんが、そのあたりの感覚を、この1シーンで喝破したようにも思え、かなり気の毒でした。自分の分野に埋没して活動していたら、他分野や世間一般の人と交流する暇もなく、繊細な配慮をしているゆとりも、なかなかありませんもんねぇ。。。難しい時代です。
ある種、コミュニズムのような団結の力で回る業界の、しかもジブリという象徴的な場においては、最近のグローバリズムの権化のような無機質のデータ活用は、たとえそれで有機物を擬態しようにも、違和感だけが浮き立ってしまうのかもしれません。
この一件で発奮したのかどうかは定かではありませんが、すでに70代半ばの宮崎さんが、再び「長編企画 覚書」なるものを書して、5か年計画で制作に取り掛かるかもしれないとのこと!!? いやぁ、短編映画制作で「がんばれ おじいさん」なんて言っている場合ではありません! 今、この時代に、何を作らなければ、と思ったのか…? 気になります~!!!(ナウシカ完結編は?)
ともあれ、どうぞ健康にご留意の上、どうかどうか、元気な創作活動を続けてください!!
【ご冥福を】 色彩設計の保田道世さんが、77歳でお亡くなりになっていたとは。。。ご冥福をお祈りいたします。たくさんの素敵な色彩を、ありがとうございました。
イチョウが金色に輝く季節、近くの公園には、ハイジの干し草のベッドがいっぱいできそうなほど、カラカラの枯れ葉が山になっています…。
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