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2016年12月21日 (水)

『「学力」の経済学』

20161220  息子の学校の学園長先生は、月1くらいのペースで、保護者向けサイトにビデオメッセージをアップしてくださいます。毎回楽しみに拝聴していますが、今月、その中で一冊の本に触れておられました。それが標題の、『「学力」の経済学』という本。
 自分だったら決して手に取ることはなかったろう類いの本ですが、たまにはそういう読書もいいのかもしれません。
 著者は、教育経済学者の中室牧子さんという慶応大学の先生。日本における教育政策の決定が、あまりに感覚的に決められており、科学的なデータの裏付けや、信頼性のあるエビデンスに基づいていない、という警鐘を鳴らす本とお見受けしました。
 確かに、日本の政策決定が緻密なデータ分析に基づいて行われているという実感はなく、人口動向や年金運用の予測の甘さを見ても、あまりに数字の取り扱いがゾンザイすぎると思うことはしばしばなので、興味深く拝読しました。
 人生の成功を、「学力を高めること」や「高い収入を得られる職業に就くこと」と考えるなら、本書の謳うアプローチは、とても有用だと思います。教育政策にかけるお金に対しても、費用対効果の観点を取り入れて再評価して更新していくべきであることも尤もだと思われます。そもそも、「学力」以外の“人間力”とでもいうような非認知能力を測る術がないことが、教育の最も難しいところだと考えれば、評価のパラメータは限りなく一面的にならざるをえませんが、著者も書いておられる通り、必ずしもその「学力」が、“豊かな”人生を送る上で最重要な要素ではないのも難しいところ。
 教育者はそもそも、“りんごとみかんを比べるようなことはしない”良識を持つべきだと思っていますが、統計を駆使するということは、りんごやみかんのデータを一緒くたに外挿するようなものだし、ゴールの設定そのものが、私の考える“いい教育”のソレとは激しく違っているのを感じました。
 教育が、人生に大きな影響を及ぼすことは間違いないと思いつつ、十人十色の生徒や先生という人間集団の中での化学変化について、データを取り、評価することの難しさを、考えさせられた一冊でした。

20161220_2_2  【E判定】 今月頭に受けた健康診断の結果が返ってきました。なんと“E判定”。原因の一因は、怠惰な息子を見続けなければならないストレスであることは歴然(苦笑)。毎日、煮えくり返るハラワタで溶鉱炉のようになった感情を抑え込むだけで、かなりのカロリーを消費している気がします。。。

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